Wagby Developer Day 2016 無事に終了しました

さった11月10日、通算5回目となるプライベートセミナー「Wagby Developer Day 2016」が東京・秋葉原UDXカンファレンス6Fで開催されました。過去最多となる285名の事前登録をいただき、多くの方にご参加いただきました。基調講演では座席に座れず、ご不便な思いをおかけしてしまった方もあったとのこと、申し訳ございませんでした。来年はさらに改善するようにします。

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基調講演の様子は後日、メディア記事で掲載される予定です。ここでは裏話をお伝えします。

基調講演 - 2社との協業成果を発表

基調講演では、コクヨ様とPivotal様にそれぞれ Wagby との連携をお話しいただきました。両社とご一緒にビジネスができるようになったと思うと、本当に胸熱です。

コクヨの山崎様とは、MIJSコンソーシアムで知り合いました。とても品の良い方で、また大企業とは思えないビジネスのスピード感をお持ちです。山崎様から CamiApp S をご紹介いただいたとき、これは日本の法人市場で受けると直感しました。詳細はこちらの記事が詳しいです。
ascii.jp

これまでの手書き文字認識と異なり、ペンが書き順を追って認識する方式のため、多少の悪筆?でもデジタル化できる強みがあります。紙の上でペン書きするのですが、CamiApp が下敷きとなっており、書いた文字がデジタル化されていきます。そして期待通り、スマホの通信機能を経由して Wagby アプリケーションにデータを送信できます! コクヨ様が開発された通信アプリ側で「Wagbyに送る」という選択肢が見えたとき、感動しました。短期間で開発いただけたコクヨの皆様に感謝申し上げます。是非、この枠組みをいろいろなところに提案したいと思います。

余談ですが当日の懇親会でも、当社の村田君が CamiApp 実機を片手に、会場のあちこちで手書きデモを行っており、人だかりができていました。


そしてもう一つの連携発表は、Pivotal 様が提供する PaaS である、Cloud Foundry 上で Wagby を動作させるというものです。Cloud Foundry についてはこちらの記事が詳しいです。
enterprisezine.jp

Pivotal Japan の市村様とは、Springの勉強会で知り合いました。WagbyもベースはSpringです〜という話から盛り上がり、Cloud Foundry で動作するのでは?ということで市村様ご自身で試していただいたところ、思った以上に簡単に動作したということがわかりました。その内容をベースに弊社でさらに検証を進め、本日の発表となりました。

Cloud Foundry は、法人向けの社内アプリケーションをクラウド環境で安全に動作させることができる最高レベルの選択肢です。この分野ではこれまで、セールスフォースさんやサイボウズさんが自社でクラウドプラットフォームを構築されてきましたが、私たちは自社開発ではなく、Cloud Foundry という世界標準の PaaS 技術との組み合わせを選択しました。これで Wagby は、クラウド環境で運用する最良の切符を手にすることができたと大いに喜んでいます。今後は Pivotal Japan 様と共同でいろいろ企画したいと妄想中です。

余談ですが11月18日開催の SPRING DAY 2016 のランチセッションで、Cloud Foundry x Wagby の技術話をします。沖縄のお弁当を無料でいただけますので、よろしければご参加ください。ランチセッションは先着80名様限定企画です。
springday2016.springframework.jp

午後のセッション

ソフトバンク様、東京商工リサーチ様、UQコミュニケーションズ様、カラーズ様、千代田グラビヤ様、ジーリンクシステムコンサルティング様、ベスト様の事例発表をいただくことができました。(社名非公開も含めると、あと二つありました。)
https://wagby.com/event/wdd2016/form.jsp

あいにく私はスタッフとして関わっていたためすべてのセッションを聴講できていませんが、後日、ビデオを観ることを楽しみにしています。これも裏話ですが、発表いただいた方から、こういうコメントがいただけました。

  • もっと語りたいことがたくさんあった。次は最新のロボットとの連携ネタも出したい。
  • 外部での発表は初めての経験で緊張したが、終わってみるとやってよかったと実感している。社内メンバーにも自分たちの仕事の進め方に興味を持っている人がこれだけいる、ということがわかり、プラスになった。
  • 前日まで発表練習をしており、いろいろと工夫した。若手技術者にとって良い刺激になった。

などなど、企画してよかったと安堵しました。Wagbyによる内製開発や、SIerによるカスタマイズ報告は、多くの方が興味をもっていらっしゃいます。これらの知見が共有されることで、さらに超高速開発は加速します。

Wagby の本質とは

午後のセッションで、一つだけすべて聴講できたものがありました。羽生さんのセッション「未来に立ち向かうための上流工程再考 〜Way to Lightweight Enterprise with Wagby〜」です。これには心底、感心したので、少し書きます。

世界中で先進国と呼ばれていたところは衰退期に入っています。特に日本は人口減による市場の縮小、労働力の減少が確実視されており、企業の成長を再定義しなければならないところです。羽生さんはこれを「成長をデザインする」という言葉で語っていました。より広い市場に、より少数でアプローチする時代、組織は常に若々しく活発で、風通しがよく、意思決定が早いことが求められます。そこでポイントになるのは、成長 = 新陳代謝が活発であること、という考え方を土台に置いたことです。

ヒトの細胞は1ヶ月で9割が入れ替わることが知られています。しかし私は自分が入れ替わったという自覚がありません。9割の細胞が入れ替わっても自分であり続けているのは、記憶と遺伝子が継承されているからです。では企業システムにとっての記憶と遺伝子とは何か。記憶はデータベースであり、遺伝子は設計情報です。

つまりWagbyの本質とは、システムの遺伝子としての設計情報を備えていることなのです。Wagbyはソースコードを生成しますが、生成コードにパッチをあてて保守するのではなく、設計情報を維持して常に最新のソースコードであり続けることに意味があります。「レガシー化しない」、つまり「レガシーフリー」です。

これは突拍子もない話ではありません。プログラミング言語は初期の機械語を起点に、構造化やオブジェクト指向などのアイデアを取り入れて、より「抽象化」されてきました。設計情報とは、さらに一段と進んだ抽象化であり、これまでの進化の方向性に沿っています。ようやく、こういう時代になったということです。羽生さんに Wagby をみてもらってわずかな期間で、よくここまでわかりやすく整理してもらったと感じ入ります。

しかしこれによって、また新たな問題が生じるからシステム開発は面白いです。超高速に開発できるようになったとしても、そもそも何を作ったらいいのかという要件定義、さらにその前の超上流といわれる分野は、これまでほとんど体系化されていません。Wagbyのようなツールの登場で、ようやく設計の主戦場がここに移る、といいます。これは本来、設計者がやるべきことであり、しかしこれまでは開発工程に時間がかかりすぎたため、おろそかになっていた分野でもあります。

羽生さん自身はその流れを読み、すでに本の執筆も終えたとのことで、宣伝もしていました。私もさっそく予約しましたので、届くのが楽しみです!
https://www.amazon.co.jp/dp/4774185922www.amazon.co.jp

その他

今回はWagby10周年ということで、会場で多くの方に「10周年おめでとう!」と声をかけられました。私も含めスタッフ一同、この10年があったから今日を迎えることができた、ことを実感しました。ありがとうございました。

記念ということで今回、奮発して来場者の方々へ MAMORIO という IoT 製品をプレゼントしました。結構人気で、これをもらえるのを楽しみにしてきた、という方の声を多く聞きました。これが集客効果につながったかどうかはわからないのですが、喜んでもらえたのは間違いありません。企画してよかったと思います。

懇親会では、沖縄県東京事務所の方から来賓祝辞をいただきました。東京で活動している沖縄出身の企業として、こういうつながりがもてるのは心強いです。

タイミングがあわずご参加できなかった方へ

資料ダウンロードサービスを準備中です。公式ページ wagby.com でご案内しますので、お待ちください。
[2016.11.15] 資料ダウンロードサービを公開しました。こちらからご入手いただけます。

また、直近では11月24日にアライズイノベーション株式会社による「第1回超高速開発セミナー - Wagby活用最前線!編」が開催されますが、そこで私もお呼ばれされたので、お話しします。基調講演の話などを含みますので、是非ともご参加ください!
www.ariseinnovation.co.jp


来年の WDD では、いよいよ次期版となる Wagby R8 の話をする、と気合が入っています。来年もまた、皆様とお会いできることを楽しみにしています。