SIビジネスを変えよう、というマインドが浸透してきました

苦節10年というのは陳腐な台詞ですが、本当に10年かかって今、日本の SIer の現場サイドから「超高速開発という潮流をリアルに捉えよう」という機運が高まっていることを実感しています。

A社では今年はじめ、Wagbyを中軸に据えた SI ビジネスのチームを発足させました。現場の技術者が中心になって "Wagby を使いたい" という提案を上層部に行い、実現したものです。A社の技術者は、このブログも読まれているとのことで、私が主張するSIビジネスに可能性を感じているというコメントをいただきました。自社パッケージを Wagby で作り直すことと、お客様への提案の二方面で Wagby の活用を進めています。

B社でも同じようなタイミングで、こちらもやはり現場主導で Wagby の採用を決めていただきました。現行システムを Wagby で再構築するにあたって、これまでと動作が異なる部分をどう吸収するかという課題をWagby販売パートナーおよび当社と一緒に取り組んでいます。この試みを成功させ、社内での Wagby の認知度と評価をさらに高めようとしています。

C社は数年前に社内でWagbyビジネスが立ち上がったあと、いったん尻すぼみになりました。これは経営層の一部から「Wagbyを使うと工数が減るので、よろしくないのではないか」という声があがったことが原因でした。しかし現場サイドは「ここでWagbyをやらないと、SIビジネスの変化に追いつけない」との危機感がありました。時間をかけて上司を説得し、再びWagbyチームを復活させることになりました。

今年に入ってから、このような話を伺えるようになりました。自社のSIビジネスに Wagby を取り入れることで変化に備えようという現場サイドの意気込みを聞かせていただき、大変嬉しい気持ちです。ちなみに、ここで紹介した3社はいずれも当社との代理店契約は締結していません。Wagbyのライセンスを販売するのではなく、自社のSIに取り込む、という方針です。現在、Wagbyの代理店は20社ほどありますが、このように代理店契約は締結していなくても Wagby を活用するという SIer も増加しているのは心強いです。

わずか数年ほど前、同じく開発現場から「(Wagbyのような)ツールは以前からあって、いろいろ評価したがどれも使えなかった。また同じようなものを紹介されても信用できない。」と断られ、なかなか試していただくことさえできなかったことが嘘のようです。

ただし、このような事例は SI 市場全体からみれば、まだまだ少数派です。大多数はオフショア/ニアショア開発の活用を継続されています。それでも超高速開発という考え方に対しては逆風ではなく、追い風になっていることを実感していますので、先行きには希望をもっています。

追い風といえば、今年は日本IBM様も「超高速開発」に取り組むというアナウンスがありました。何が嬉しいかといえば、これによって次世代の基幹系システム開発は超高速開発になるという方向性が、業界全体の合意事項として定まった感があるためです。補足しますと IBM はこれまで Java EE という標準技術に多大な投資をしてきました。今回のアナウンスは、超高速開発がこれらの技術に置き換わるものではなく、従来の(Java EE などの)標準技術を活かす形で、さらに超高速開発というトレンドをしっかりやっていく、という意図と解釈しています。これでNTTデータ、NEC、富士通、SCSK、そして日本IBMといった大手SIerの超高速開発に対する取り組みが明らかになりました。Wagbyの考え方は間違いではなかったと、改めて納得しています。

これから日本で、超高速開発は普及期に入っていくでしょう。海外では Low Code Development Platforms と呼ぶそうです。(OutSystems さんのサイトから)。Low Code = これまでプログラマが手で記述するしかなかった部分、のことを指すのでしょう。Low Code はもちろん必要なものですが、これをできるだけ書かずに済ませるというのが、超高速開発を支える技術です。これからの数年でどこまで普及させることができるか、全力で取り組みたいと思います。