デジタルとアナログ

最近、IT 分野で働いているということで「デジタル = 冷たい」という印象を持っていらっしゃる方がいることに、ちょっとした驚きを感じました。改めて考えてみると、外からみた IT 業界の仕事とは、一日中パソコンに向かって、何やら暗号めいた?プログラムを書いているように見えるはずです。
そこで今回は、私なりにデジタルとアナログを再考してみたいと思います。

「デジタル = 冷たい、機械的」
「アナログ = 暖かい、人間的」

一面的な見方ですが、案外に多くの方々は、この括りに同意されるかも知れません。現在はデジタル化社会へまっしぐらという雰囲気ですが、デジタル化社会とはこれまで以上に冷たく、機械的なものになってしまうのか?と問われれば、私自身はそうは思いません。

人間の活動は本質的にアナログです。よって人間の集合としての社会である以上、そこがデジタル化されることにはなりません。ではデジタル化の特徴は何かというと、次の点に集約されるのではないかと考えます。

「情報の共有」
「情報の再利用」

共有と再利用のためのコストが限りなくゼロに近づくのが、デジタル化社会の本質ではないでしょうか。その結果として、単調な仕事が減少し、創造性が必要な仕事の重要性がいっそう高くなる、といえます。つまり人間を良い方向に開放し、よりアナログな活動ができるように支援するのがデジタルの役割ではないかということです。よって、私自身はデジタル化社会に期待しています。

「共有と再利用」が進んだ結果、社会はどうなるかというと、「無駄」がなくなり「効率化」されます。私は、現在の先進国(特に日本!)の社会インフラコストは非常に高いと思っており、そこには多くの無駄の匂いを感じています。効率化を進めることで、社会インフラコストを下げること。これもまた、デジタル化社会に課せられた役割ではないかと思うのです。

そういう視点で IT 業界をみると、我々は「社会のコストカッター」という自負をもって良いのではないかと思います。無理、無駄をなくして便利、効率な社会をつくる、そういうインフラを支える IT 業界は、今後ますます面白くなると期待しています。

「デジタル = 人間のアナログ性をより高めるための基盤」

さまざまなものがデジタル化されていく昨今ですが、その目的を今一度、はっきりさせておきたいと思います。

# この内容は JamineSoft Mail & News 2007 年 10 月 23 日号に書いたコラムの転載です。