地理情報システム学会 沖縄地方事務局 研究会

昨年から当社が事務局機能をもちました。年一回のペースで研究会を開催していますが、今年は奈良大学の碓井先生に来沖いただきました。資料はこちら

碓井先生の講演内容は多岐に渡りました。曰く、国の政策の方向性から地理情報標準技術の考え方、そして地方公共団体の役割、民間企業および個人へはGIS資格取得の奨励まで。すべてを理解するのは大変ですが、大筋の方向は、参加者(驚いたことに80名余!)も納得できたのではないでしょうか。

当社が起業したときの最初のパッケージソフトは GEOCatalog といって、国の政策にあったクリアリングハウスという概念を製品化したものでした。ブームになるかと期待したのですが、残念ながら GIS 自体が伸び悩む中で、採用は先進事例のみにとどまりました。その最大の原因は「空間データがない」ということでしたが、あれから 7 年。国の政策は「空間データを(コストをかけて)整備しよう」ではなく「ないならないで、少しずつ使えるデータをもちよろう」ということに落ち着いたわけです。つまりコストをかける代わりに、時間を費やすという選択をしたということ。

個人的には、空間データを整備する前に、地理情報標準に基づく地物オブジェクトの概念を広め、地物単位での整備を可能とするのが先と考えます。そのためには「地物オブジェクト管理サーバ」が必要です。そう思って一度、つくったことがあるのですが... これもまた、時期尚早でした。本当に国の施策というのは、10年単位でみないといけません。ペースをあわせるのが大変です。

ちなみに当日、Wagby のドラッグ&ドロップ開発で Google Maps アプリを作成するデモを発表したところ、会場は大いに盛り上がりました。碓井先生からは「(地理院の)電子国土に対応しないのか?」という指摘を頂きましたので「検討します。」と即答。電子国土に対応すれば、各自治体は Wagby 採用に前向きになって頂けるものと期待します。