謹賀新年:今年の IT 業界の動向を勝手に予想する

私が IT 業界を楽しいと感じている理由の一つに、「わずか 1 年の予想すらできない」ほどスピード感があることがあげられます。
例えば昨年(2007年)をとってみると、私が予想できなかった出来事として「Flex のオープンソース化宣言」や「Web のプラットフォーム レベル3への道筋が示されたこと」があり、大いに興奮しました。また、IT 業界の 3K が大いに注目されると同時に、沖縄におけるオフショア開発の盛り上がりも、予想以上に加速した 1 年でした。

さて、これも一興と思いますので、自分なりの今年の予想を箇条書きに連ねてみます。

  • OSS マーケティング論が盛り上がる。これは OSS とビジネスの結びつきが、より強まることを意識しています。OSS を流通形態の一手法として捉え、マーケティング戦略の一貫として効果的に用いること。しかしゴールをビジネス的な成功と位置づけ、ライセンス販売方式に変わる、何らかの収益モデルを確立すること。ここでのポイントは、ある OSS を拡げるためのマーケティングではなく、ビジネス的な成功(安定収益構造)をもたらすためのマーケティングを考えることです。
  • 中小 SIer 企業の合併が加速する。これは東京/地方といった場所を選びません。その背景には、加速するオフショア開発に対抗するために「規模を確保する」戦略をとると決めた企業が増える、という予想です。また、データセンタ(プロバイダ)と、テクノロジ企業(Web に関する特化した技術をもった企業)との合併も増える可能性があります。これは Web プラットフォーム化への布石になります。
  • ERP 製品のアピールは「カスタマイズ容易性」が重視されるようになる。大手企業への ERP 販売が一段落し、次の主戦場は、売上規模 100 億円を軸とした中小企業への展開になります。日本の ERP はカスタマイズありき、特に中小企業ほどその傾向は強いと感じているので、カスタマイズ作業を含めたトータル価格で優位となるための工夫を行うベンダーが増えるでしょう。個人的には、このあたりに BPEL の存在意義もあるように思います。ERP の「部品(業務ロジック)」の流通が加速するのではないかという意味です。
  • フルブラウザ携帯を意識した業務クライアントソフトの開発の活発化。昨年登場した iPhone (iTouch) に搭載された Safari 3 を軸に展開されるのではないか?というのは、かなり個人の趣味に走った希望です。

業務システム開発に限っていえば、今年も Web 中心になっていくことは間違いないと思っています。特に、Web プラットフォーム レベル3への進化の過程で、さまざまなアイデアが登場するでしょう。今年もどんな製品が登場するのか、大いに楽しみです。もちろん、その一部に、当社製品も加えたいと意識しています。