沖縄の IT を考えるリーダー達

今月はたまたま、二つの異なるプロジェクトに声をかけられ、沖縄の IT 産業についてブレストを行う会にそれぞれ参加しています。
(プロジェクトの主催は違っても、集まるリーダーの顔ぶれがほぼ同じというのは面白いです。)

いずれの会も「人材育成」の議論が活発でした。刺激されたので、「技術者の育成」という範囲について、現時点での持論を整理しておこうと思います。

  • 底辺拡大よりもトップ育成が必要。ちょっとしたプログラムが組めるようになることは趣味または知見を広めるという意味ではとても面白いことです。一方で産業として考えた場合、わずかな知識だけでは、もはや組織化された海外オフショアに太刀打ちできるものではありません。今、地方に必要なのは大量の普通のプログラマではなく、世界に通用するプロダクト(OSS含む)を出せる技術者です。そんな人材が数名いるだけで、市場をつくることができるからです。
  • 育成のための技術教育だけではなく、使うチャンスを与える必要があります。高度なスキルを学んでも、使う機会がなければ宝の持ち腐れです。
  • 下流工程を理解して上流設計を行える指導をする。上流と下流を分けて考えるのはナンセンスです。実装技術をしっかりと理解して上流設計を行えば、無理な設計を初期段階で避けることができます。結果として上流工程における品質の作り込みに寄与します。

また、地方の IT を支援する政策という視点で考えたとき、「誘致と内発」のいずれを重視するかということも問題になります。行政は誘致に力を入れることが多いですが、時間がかかっても内発型を支援するべきと思います。誘致型企業の目的はコストセーブなので、雇用は増えますが給与が低く抑えられるため、地元経済への還元には限界があります。内発型の企業が成功すれば、多くの外貨を地方にもってくることが可能です。何よりもスターの登場は、次のスターを産む土壌となり、元気が出ます。