経済自立フォーラム

さった 9 日に琉球大学で開催された「経済自立フォーラム」にパネリストとして参加しました。パネル討論は予定を 1 時間も延長しましたが途中退席もなく、大いに盛り上がったと思います。主催の沖縄経済学会の皆様をはじめ、事務局の皆様、おつかれさまでした。

私自身もためになる話がたくさんありましたので、ここにメモします。

「沖縄経済自立の方程式」琉球大学副学長 大城 肇 様

  • 全国が好景気となっていた 2005-2007年でも、沖縄の景況感は悪化が続いていた。
  • 沖縄県の入域観光客数は増加しているにもかかわらず、県経済の牽引力は低いというデータが出ている。(観光業界も薄利多売?)
  • 経済の自立とは「モノづくり&サービスづくり、移輸出(かせぎ)の増大。」を実現すること。
  • これまでの沖縄県経済は「公共事業+基地収入+観光収入」の 3K と言われていた。しかしこれからは「環境+観光+健康」の新 3K に注目している。循環型産業システムを構築する必要がある。
  • 起業では「素材(比較優位)x 知恵(活用ノウハウ)= 新商品」になる。特産品(地域的個性)を考えることが大切。

「中小・ベンチャー企業と地域経済」名古屋工業大学大学院教授 松井 憲一 様

  • ベンチャー企業の傾向として、競合と同じ市場で戦う差別化戦略またはコスト・リーダーシップ戦略の成功率は低い(14%)。それにも関わらず、この戦略を取るベンチャーは多い。技術への過信や、競合製品の情報不足か?
  • 競合より狭い市場で戦う集中戦略の成功率は相対的に高い(48%)。
  • 集中戦略はさらに、ハイエンド集中戦略(既存企業にとって重要な顧客に集中)とローエンド集中戦略(既存企業にとって重要でない顧客対象)に分けられる。ハイエンド集中戦略の成功率は 1% しかない。ローエンド集中戦略は新市場集中戦略であり、この成功率は比較的高い(54%)。すなわち「大企業が重要だと感じているマーケットに参入すると、苦戦する。」
  • ローエンド集中戦略でも、ニーズを確認している場合の成功率は 93%。確認先は「大企業」がよい。
  • つまりベンチャー企業への事業性評価法は「ローエンド集中、新市場集中戦略を採用しており、ニーズ確認を行っているかどうか」になる。

松井先生の講演の中にあった、コスト戦略の成功性が低いという事実は注目に値します。
沖縄県内の企業は、人件費の安さを前面に押し出すコスト戦略が多いと感じています。大企業が沖縄に進出して実施すると、仕事を安定的に受注できるルートが確保されているため成功するのでしょう。しかし同じことを地元企業が行っても、自ずと限界がくる、と解釈しました。

パネル討論

私の発表を要約すると次のとおりです。「IT 業界における懸念事項は、人月制度による見積方式にある。この方法の矛盾点はほとんどの人が実感しているにもかかわらず、誰も代替案を出せない。当社が提案する Wagby は自動化によって開発工数が減るため、人月制度の矛盾点をクローズアップすることになる。ここで良いアプローチを提示することができれば、当社のビジネスは成功するだろう。今が一番、知恵を出すべき時期にある。」

パネラーのご発表はいずれも自らの体験に基づく、説得力のあるものでした。その中でも、沖縄総合事務局経済産業部長の市原健介様のコメントが良かったのでメモします。発言の主旨は「国内の大企業は現在、バブル期に匹敵する好決算を上げている。(今年は石油の問題などで下がる見込みだが...)しかし一方で企業城下町はさびれ、活気がない。これは中高年層をリストラし、現場をコスト圧縮したため。沖縄はこの構図を求めているのか。それとも別のアプローチを考えるのか。」というものでした。まったくの同感です。お金は生きていくために必要ですが、お金のために生きているわけではありません。

懇親会

その後の懇親会で、沖縄県が実施を進めている IT 津梁パークの話をしました。関係者の気持ちは「最初は低コストを売りに仕事を取りにいくことになるが、実績をつめば人月単価を上げる方向で...」ということでしたが、それに対する私の回答は「そんなに甘くない」です。民間サイドにとって価格アップの提案は本当に死活問題で、簡単に(人月単価の)値上げが認められるとは思っていません。あえて断行すれば他所(国外)に仕事が流れるだけです。そうしないためには、沖縄オフショアならではの差別化手法を持つことが必要。それは技術面かも知れませんし、政策面かも知れません。今の段階では、そのような差別化手法がはっきりしておらず、人件費の安さだけが前面に出ていることがずっとひっかかっていることを伝えました。

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