GISの捉え方

今週は沖縄地理情報システム協議会のメンバーと活動し、GIS の提案資料を作成してきました。ここでは私の立ち位置は SIer なので「私達の提案を実現することで、GIS をもっと効果的に活用できる」という説明資料になります。しかし提案を受ける側は「GIS を導入することによるコスト的なメリットをもっと示してほしい」というもので、残念ながら平行線の感が否めません。

現行の業務枠組みに閉じてしまうと、新システムの導入メリットはコスト削減だけに目がいってしまいます。しかしこの枠組みには夢がない。新しい業務の枠組みを考え、これまでできなかったこと(もしくは本来やるべきであるが、忙しくて手が回らない)を実現するために新システムを位置づけてほしいわけですが、お客様(自治体)に対して、そういう視点をもてるような説明ができていません。多少自己弁護すると、同じような説明(GISの有効性)を行っても担当者が異動するたびに白紙となり、それを繰り返す...というサイクルにむなしさを感じました。

GIS の本質はコスト削減のツールではなく、複数の業務を組み合わせた意思決定支援ツールです。それが理解されず、コスト削減だけで語られている間は、次のステップに進むことは難しい。

私と GIS の関わりは次のとおりです。平成9年に始まった国交省(当時は国土庁)のGIS実証実験事業に関わって、GISの有効性を認識しました。それからGISのビジネス化を模索しましたが、継続できたのは「住所正規化コンバータ」だけです。いったん自治体向けGISから身を引きましたが、去年あたりから再び沖縄地理情報システム協議会メンバーとして自治体への啓蒙活動に従事。10年前に勉強したオブジェクト指向技術をベースとしたGIS(現在は「地理情報標準」として日本でも認知)を沖縄で普及させたいと活動していますが、いよいよ開花か?というところで踊り場にさしかかっています。結局この10年あまり、自治体におけるGISの認識は対して変化がありません。技術はどんどん向上していますが、「使いたい」という人がいなければ宝の持ち腐れ。GIS ビジネスが拡大しないことにたいする焦り、いらだち、諦め、そしてまた気合いを入れて復帰、という繰り返しです。

今回こけたら、またしばらく潜ることになるかも...。