GIS の捉え方(続き)

前回の続きです。私はこれまで県レベルでのマップセンターを設立することが GIS の普及に必要だという主張を行ってきました。マップセンターの位置づけは (1) 最新のデータを安価に提供するインフラを用意すること (2) そしてその実現のためには地方自治体が日々の業務の中で収集できる空間データの更新情報を使って最新データをほぼリアルタイムに更新する仕組みを用意すること、などが含まれます。ここでの「空間データ」は家屋、道路などの形状情報(ベクトルデータ)が主眼です。

このようなマップセンター構想は他都道府県でも少しずつ議論がはじまっており、先進的自治体はすでに構築・運用フェーズに入ろうとしています。

しかしここへきて私の主張は怪しくなってきたことに(先日)気づかされました。そもそも自治体がベクトルデータを必要としていない...という状況を想定していませんでした。

自治体からみた GIS というのは、画面上に精密なポリゴンが表示され、高速スクロール自由自在、さまざまな情報を地図上で可視化できるというツールでしょう。私を含めたベンダー側の反省点は「ツールをより良く使う方法」を説明するばかりで、「そもそもGISを業務のどの部分に使うべきか?」についての説明が弱いのかも知れません。そういうと「すでに道路管理、河川管理などさまざまなパッケージがある」とお叱りを頂きそうですが、これらは法律で定められた施設管理業務であり、GISの代表的な分野ですから説明は不要です。そうではなく、施設管理業務*以外*の、どこに適用できるか?という質問に対する明確な回答が弱い、ということです。

それは自治体の職員の仕事であり、ベンダーとしては高性能ツールを提供するまでが責任分解点です、という説明もあるでしょう。しかしGISを有効活用してほしいというソリューション営業としては失格です。そこで納得いただける説明ができなければ、「やはり GIS は施設管理以外では使い道がない。」という烙印を押されそうです。

GISという枠を超えて、一般業務の中で空間的視点をもつことが当たり前になることが求められます。(これも何度も指摘されている視点ですが、具体的なソリューションが少ない。)これを乗り越えない限り、マップセンターの必要性を関係者に認知してもらうことは難しい。もう一息です。