ジャスミンソフトは Wagby と共にある

今期がはじまってから早、1ヶ月が経過しました。少し遅くなりましたが、以前から約束していた「2009年以降」の話をします。

いろいろ考えましたが、ジャスミンソフトWagby と一心同体である、という立ち位置を忘れずにいきます。
Wagby は当社が設立して半年後に、社内プロジェクトとして開始しました。いくつかの受託案件を Wagby でこなしたあと、2004 年に社外に発表しています。2006年から「Wagby」というブランドに統一して本格的な販売をはじめ、今に至ります。会社の歴史は Wagby と共にあります。この IT 業界に登場するさまざまな新技術も、当社はすべて Wagby というフィルタをとおして吸収してきたし、これからもそうしていくのです。

しかし、パッケージ販売という事業だけでみた場合、残念ながら Wagby は成功しているとは言い難いです。開発投資を回収しきれていません。先行投資を継続させるスタイルを数年実施して、パッケージという事業展開が難しいことを実感しています。売上が伸びているので未来はありますが、今のスタイルの延長ではない、別のアプローチが必要ではないかと常々、考えてきました。全国のプレイヤーとしてさらに飛躍するために、勝負にでる時期はいつか、を考えてきました。

ジャスミンソフトは 2010 年 4 月で「10年目」を迎えます。今が 2008 年 11 月ですから、残りあと17 ヶ月。1年半程度ですね。
おそらくこれが最後のフェーズになると思います。社員の皆さんはこの1年半を、当社が浮上するかどうかのラストチャンスと捉えてください。私はそういう運営をしようと思います。

事業計画の詳細はここでは触れませんが、年明けに大きな変革を行う計画です。この変革に失敗した場合、10年目は迎えられないかも知れません。「ベンチャー企業が10年後に残っている可能性は0.3%」という数字の重さを実感しています。

多くのベンチャー企業が途中で死んでしまうということの事実を、私達は身をもって体験してきました。
その原因は次の要因にあるのだと自覚しました。

  • 製品発表から真の開発投資がはじまる。これが長い!Wagby の発展の歴史は、お客様の要望の実現(機能拡張)と不具合修正の連続でした。しかしこれもようやく一段落しようとしています。
  • 価格設定が難しい。これまで何度も価格を変更しているのは恥ずかしいですが、今の価格体系がベストかと問われると、そうではないだろうと思っています。
  • 中途半端な企画販売力。技術だけではダメで、それをどう展開するかという企画力と、それを支える資金、人がいないとビジネスにならないことを十分に体得しました。

しかし、得られたものもあります。これは次のものです。

  • すばらしい人材。製品が期待よりもヒットしていない状況が続いているにもかかわらず、去った人は一部にとどまりました。今、在籍している人は本当によく会社を支えています。もちろん、その想いに甘える気はありませんが、感謝しています。そして、これはゼロからつくれるものでもありません。8 年という時間が必要でした。
  • Wagby という製品そのもの。最初の版から比較すると、とても良くなりました。他社が真似できないレベルに達してきたと思います。
  • ITバブル期を超えたこと。ひたすら製品改善に取り組んできたため、他の会社が落ち込んだ今こそ、当社がデビューするチャンスがきたのかも知れません。これは場所が沖縄にあったことも幸いしているでしょう。
  • 私がやる気を失っていない。いまでも「Wagbyの可能性」を信じています。なんだかんだいって燃え尽きなかったし、私はしぶとい精神力を持っているのだと改めて自覚しました。


つまり「地の利と人の和」がそろったのです。これに満を持した Wagby の登場という「天の時」が加わることで、勝負できる状況がやってきます。いよいよです。

社員の皆さんにおかれましてはもう一息、当社で力を発揮してください。皆さんにお願いしたいのは

「全国で勝負できる品質・機能をもった Wagby をつくること」

です。

この目標は必ず達成できると信じていますが、一人でも手を抜くとうまくいきません。私達はまだ安定した地位を確立していないし、この IT 業界に対しては異端的、チャレンジ的な立場にあって、社会に認めてもらうためになお一層の努力が必要な状況であることを自覚しましょう。しかし私達の提案する「仕組み」はお客様と開発者の双方を幸せにできるし、オフショアなんかよりも、はるかに良い関係を構築できるものです。私達がコケたら、沖縄に技術力は不要、安い労働力だけあればいいという烙印が押されてしまいます。それだけの覚悟を Wagby に投入しましょう。その想い、努力は必ず結実します。

10 年後、20 年後に皆さんと苦楽を共にできたことが人生の最大の喜びであったと胸をはって言えるようにしたいです。バグ取りも、資金集めも何でもしますが、後悔だけはしたくありません。全力でやった結果の失敗なら受け止めますが、中途半端な言い訳はしたくありません。誰だってそうですよね。私もそうです。

まず目の前の R6.3.1 そして R6.4 を着実に出荷してお客様の信頼を築くこと。並行して種々の案件をこなしながら、私達の目指す方向性を自分たちで決めて、そこに進んでいきましょう。

今期もよろしくお願いします。