「デジタル人本主義への道」

今月は出張が多いので、移動中に少しずつ読んでいます。伊丹先生の本は初めてですが、これは9年前のハードカバー版が文庫化されたもの。とはいえ内容に古さはなく、いくつも教えられています。

以前から資本主義と社会主義の間の、修正資本主義といえるような第三の道(米国型の株主中心主義ではない、という意味)を示す本を見つけては読んでいるのですが、伊丹先生の指摘はわかりやすいです。基本原則である「企業は人」を忠実に守ることの大切さを教えられます。

1973 年以降の「不思議な六年サイクル」説が面白かったのでひとまずメモ。

日本企業は 70 年代のオイルショック(資源の値段が変わること)をうまく乗り切ったために 80 年代は世界で主導権を握れた。しかし 90 年代の変化(金融の安全性についての値段が変わること)に対応できなかったため、苦しむことになったというものです。

これは企業からみれば、環境の変化という外的要因です。企業存続のためには、このような変化を受け入れるようにして進化していかなければならないことを示唆しています。経営者は大きな流れの中で次の布石を打つべく、下請けをしながら次の研究投資をすることが求められます。

しかし IT 系中小企業の経営は難しいことを実感します。好況時でも派遣中心なら利幅が少ないので研究投資費を捻出できない。受託の場合は好況不況とは別に、わずかな狂いで赤字が出てしまう。これに加えて技術の変化のスピードも意識する必要がある。これらを加味しながら、それでもバランスをとって会社を存続させ、さらに次の一手を打つこと。困難な状況ほど燃える人に向いている仕事です。