IT企業の軸足はハードウェアとソフトウェアのバランスに移る

Oracle + Sun の登場以降、ソフトウェア企業は単独でやっていくという路線から、ハードウェア企業との一体化へと変わってきました。

Microsoft は HP と連携すると発表されていますが、おそらく Dell も加わるでしょう。IBM はもともと、ソフトとハードを持っていましたが、両者の連携は密になるでしょう。Google も自社の携帯電話を出しましたし、年末に出すネットブックのハードウェア仕様も厳密に決めています。

もっとも成功している企業は Apple のようにみえます。ハードとソフトのバランスが絶妙で、お互いを補完しあっています。今回発表された iPad は、CPU までも自社製でした。

Amazon も自社製電子ブックリーダーをさらに強化するでしょうし、もしかすると携帯電話も出すかも知れません。こうなると Amazon 化を目指している国内企業の楽天なども、ハードウェアに参入することも考えられます。

日本の IT ベンダーも自社製ハードをもっていますので、その視点でみると実はこれらの企業より先行しています。それが目立たないのは何故か... 個人的には、ハード屋さんとソフト屋さんの間にある、見えない壁の存在ではないかと感じています。要は、相手の領域がうまくわからないので、話が合わず、どこでバランスをとっていいかがわからないということです。

マスコミやヘビーユーザが喜ぶ「革新的な製品」は、ハードとソフトのバランスが優れています。iPhone のプロジェクトリーダーはハード系でしょうか、それともソフト系でしょうか。どちらかよくわからない、というあたりが成功の秘訣ではないかと思うのです。

ひるがえって日本の製品は、どれも「ハードの性能重視」というスタイルでこれまで押し通してきました。プロジェクトリーダーはハード系出身だと思われます。高機能なカメラ、コンパクトで耐久性のあるボディ、持ちのよいバッテリ、ハードのデザインも最近は素晴らしいし、実際に世界中で喜ばれてきました。しかしスマートフォン時代からは、そこに「ソフトウェアとの絶妙な連携」という視点が求められています。この点について明確な方針を打ち出せる製品責任者が少ないのではないか、という危惧があります。

さて、私達も実際にはハードウェアには疎いところがあります。しかしこれからのエンタープライズシステムでは、先進的なハードウェアをうまく活用した提案が求められてくることでしょう。そのためには、これから登場する各種デバイスをいろいろと試していく必要があります。カタログスペックではなく、実際に触ってみてはじめて理解できることはたくさんあります。

...ということを主張しつつ、会社に iPadAndroid 端末を備品で購入してもらおうかと目論んでいます。