品質は作り込むもの

トヨタの品質問題がクローズアップされて以来、さまざまなコメントがメディアを通して発言されています。
当社も製品開発を行っている立場上、対岸の火事ではありません。品質に対する取り組みは、すべての企業にとって永遠のテーマです。

さて「品質向上」と掲げても、具体的に何をどうすればいいのかを示すのは経営陣の仕事です。単に「不具合をなくせ」と号令をかけただけで品質が良くなる、というほど甘い話ではありません。また、品質とは不具合のことだけでもありません。

その中で私が合点したコメントは、次のようなものです。

  • テストは重要だが、テストに頼ってはいけない。テストに合格したから大丈夫では、開発者のレベルが下がる。
  • 品質は設計時に作り込むものである。開発者の想像力(気付き、経験)によって品質が決まる。

これはもちろん、テストをしなくてもよい、ということではありません。特にWagbyのような製品は常に改善が続けられているため、回帰テストの充実化は大切です。リファクタリング(挙動を変えずに内部の実装を改善する)の大前提は、回帰テストをしっかり行っているかにかかってきます。

その上で、機能(仕様)を設計するときに、想像力を働かせて妥当な仕様を決めていくことです。開発時点では「これがいい」とみなした仕様も、お客様から「変更してほしい」と要望をいただくことがあります。この場合は謙虚にお客様の要望を理解し、それがよいと判断できた場合は仕様変更を行うことも品質向上の一環だと考えています。実際、Wagby が鍛えられてきたと実感するのは、そのような改善が行われるときです。

経営陣の視点からは、継続して品質の改善を行う社内体制を整備することです。小さな会社なのでいつもリソースは足りません。少ないリソースをどう配分しつつ、品質改善のサイクルを回し続けていくか。常に試練にさらされていますが、この緊張感を維持するために、「手を抜かない」という意思を示すことが私の仕事です。