「経営組織論と情報メディアと創造性(共通)」受講生へ向けての事前メッセージ

来週、母校で学生に向けて IT 業界の動向や、沖縄の将来像を(好き勝手に)しゃべらせていただく機会をいただいています。コーディネータの大角先生から、学生には事前に私のブログを紹介しておくと連絡がありましたので、授業の前のメッセージを伝えておきます。

沖縄の IT 産業はどうなる?どうする?

沖縄県は 10 年以上も前に IT の活用に目をつけた、先進県です。当時の県政が掲げた「マルチメディアアイランド構想」はコールセンター、コンテンツ、システム開発の 3 分野を育成して雇用増大を図るというもので、数値目標を掲げたことが大いに議論を沸かせました。

これをきっかけに県外企業の誘致が活発化し、また、県内 IT ベンチャー企業ブームもおこりました。しかし同じ時期、世界経済は大きく変容していきます。それは「グローバル化」の加速です。

グローバル化自体は、以前からありました。それが加速したのは皮肉にも IT のおかげです。より人件費の安価なところで製造を行う企業が勝ち組となる中で、東京に比べて沖縄の人件費は安いという優位性も崩れていきます。その結果、企業数は増えたが給料はむしろ下がってきたという状況になっています。

沖縄県が欲しているのは、雇用の受け皿としての IT 産業です。しかしそのためには相対的に人件費の安いアジア諸国と競争しなければなりません。つまり仕事をとるために安い給料を受け入れるという構図です。

皆さんなら、この状況をどう切り抜けるとよいと考えますか?自分はこう考える、という案をもっておいてください。

講義の中で、当社の戦略と、現在の状況をお話します。

こんな不況に誰がした?

就活の話です。過去最低の内定率という、皆さんにとって、やる気を失わせる報道が相次いでいます。経験豊富な 30 代、40 代といった大先輩達がリストラと闘っている中ですので、新社会人を目指す皆さんが苦境なのはいうまでもないことです。それに加えて、もともと沖縄県は失業率が(他府県に比較して)高いわけで、どうすればいいのか途方に暮れると思います。それは当たり前のことです。コネをもっていても就職が厳しい時代、悩まない人が少数派でしょう。

20年前、私が学生の頃はいわゆるバブルの絶頂期でした。大学とは社会に出る前に羽根を伸ばす時期であって、卒業後は誰もが就職できると考えていました。当時の私たちより、今の皆さんの方が、はるかに大人に見えます。

しかし皆さんにとってはうらめしいことでしょう。それからわずか 20 年で日本は大きく変わりました。数年前、政府統計で好況と発表されていた時期でさえ、多くの人はそれを実感できずにいたのです。そしてまた今、不況なので就職できないという。政策の誤りがあったのでしょうか、それとも世界中が日本を叩いているのでしょうか。

そこで皆さんの視点からみた、不況の原因というのを考えてみてください。
講義の中で私が知っている論を紹介するとともに、もし私が今、20歳だったら...という仮定で、自分ならどういう就活戦法をとるかという話も行いたいと思います。


では来週、お会いできることを楽しみにしています。