"自分の好きなことを仕事に選んだ方がいい理由"を再考する

社会人にとっての仕事とは、人生の大半を占めます。それだけに自分の好きなことを仕事に選んだ方がいいという意見と、仕事は仕事として割り切って、趣味を別に持った方がいいという意見の両方があります。私は前者の方でした。"でした" というのは、人生の大半を費やすのだから楽しい方が一石二鳥ではないか、という(とても単純な)発想だったということです。

今でも、自分の好きなことを仕事に選んだ方がいいと思っています。他者にもそう薦めます。しかしその理由は会社創業から10年という経験を通して、変わりました。

まず前提として、現代の日本ではどのような業界も皆、生きるのに必死だという事実があります。楽して稼ぐ人は目立つかも知れませんが、圧倒的大多数の人々は、自分の全能力をかけて日々の仕事をしており、それで何とか現状を維持しているという状態にあります。そのような中で、ぽんと一つ抜け出すというのは、本当に大変なことです。

私は起業してからこれまで、いろいろと思いついては社内のリソースを使って、アイデアを製品という形で具現化しようとしてきました。しかし何度かやっていくうちに、ちょっとアイデアが光っているという程度では、まったく歯が立たないと思い知らされました。そこでリソースを集中し、持てるすべてを注ぎ込んで、これでもかという製品を出したつもりでも、必ずそこに競合製品があるということもわかりました。さらに皮肉にも、競合製品の方が良く見えたりするのです。そういうときはかなり落ち込みます。上には上がいる、同じことを考える人は地球上、必ず誰かいる。そんなに甘くはないという現実を、つきつけられるわけです。

それでも私は気持ちを切り替えて、「よし、ならばこのアプローチではどうだ!」とチャレンジし続けています。それができるのは、やっぱりソフトウェア開発そのものが好きだから、ということが大きいでしょう。好きでなければ、早々に諦めてしまっただろうと思います。つまり「好きなことを仕事にする」のは、へこたれない土台になるのだと気付きました。

好きだからこそ、より勉強します。今でも他社の優れたアイデア、プログラムをみるたびに感心し、それがどういうものかを理解するために勉強します。私にとってそれは苦ではなく、むしろ楽しい行為です。

仕事には必ず困難さがあります。チャレンジの数だけ挫折があると考えるのが、むしろ自然かも知れません。そうすると、仕事を通して成長するとは、七転び八起きの心構えが必要です。そのとき、その仕事が好きという気持ちは、大きな武器になります。好きでなくとも仕事はできますが、困難を乗り越える別の武器が必要です。それは金銭的なものかも知れませんが、経験上、それだけでは七転び八起きは難しい。金銭的に見合わないからといって困難を避けるのは、結果としてチャレンジをしなくなるでしょう。

困難とは、人格を向上させるチャンスです。仕事を通して、私はこれまでも多くの課題、困難に直面してきました。それを一つ一つ乗り越えるためのモチベーションとして、好きという感情は有効に働きます。好きなことを仕事にできている間は、チャレンジ精神を失いにくいのではないか。それはその人の人格向上に寄与するという好循環サイクルが期待できます。

結論です。好きなことを仕事にするのは楽だから、ではなく、より困難なチャレンジに向かうため、と考えます。なぜチャレンジするのかと問われれば、それが人生のテーマそのものだからです。困難さを乗り越えるたびに、人格が向上することでしょう。どのような仕事であっても、多くの困難を乗り越えたと感じる人には、ある種の偉大さがあります。"職業に貴賤なし" と言われますが、もちろん給与水準は業界によって違います。しかし困難さを乗り越えてきた人に共通する「何か」は同じです。貴賤とはお金のことではないのではないか、と思うところです。

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