県内大学生向けビジネス特別講義を終えて

先週、沖縄県内大学生向けのビジネス特別講義に講師として招いていただきました。私は次のような発表を行いました。

「ITの最新動向と沖縄のポジショニング」発表概要

  • 携帯、テレビ、PC は昔からあるが、それぞれ別のメディアであった。しかし現在、これらの中身は同じである。すべてインターネット端末という特徴がある。
  • IT産業は大きく「業務システム開発」「組み込み」「ゲーム」「サービス提供」という分野がある。この分野をまたぐ転職は難しいほど、技術体系も異なる。最近は業務システム開発分野の市場規模が縮小しているため、他分野への転職が盛んになってきている。
  • 伸びるIT分野の一つはハードウェアとソフトウェアの融合。ロボットや環境系など、未開拓の分野は多い。サイバーダイン社のアプローチは世界的にも注目されている。
  • 通信と放送の融合は始まったばかり。地上デジタル放送はゴールではない。デジタルサイネージや電子書籍など、さまざまな分野とかぶっていく。
  • 音楽、映像、ゲーム、アニメも日本が牽引できる。初音ミクの米国デビューなど。
  • ジャスミンソフトは「業務システム開発」という分野に注目している。縮小傾向の市場とはいえ、実は技術革新が遅れており家内制手工業による開発が横行している。ここにITを導入して開発自動化するというアプローチは全国的にも珍しく、注目度は高い(と思っている。)
  • 沖縄はITの優位性がある。地元指向の優秀な人材を活用できる企業があれば、世界で戦える。他の国・地域でできるのだから、沖縄でできない理由はない。
  • 私が就職した20年前や、創業した10年前は、地方が東京を目指すという道があった。今は事情が変わり、東京が世界をみている。よって私たちも東京ではなく、アジアでの活動を視野に入れなければならない。沖縄は日本とアジアを結ぶ架け橋となることで生き残りを図るのがベターと思っている。ウチナーンチュであることがビジネスで有利になるようなフィールドをつくりだせるか、が鍵になる。

懇親会で印象だったこと(1) 沖縄県の施策は役に立つのか?

その後の懇親会で学生から「沖縄県のIT施策、特にIT津梁パークなどは役に立つのか。単なる箱モノではないか。」という突っ込みがありました。そこで私は次のような持論を述べました。

「役に立つかどうかを決めるのは県民自身である。税金を投入したのだから、IT津梁パークは*あなたのもの*と言ってもよいはず。例えば国内外のビジネスマンを沖縄に招待したとき、"これが私(たち)のIT津梁パークです。" と紹介することができる。今、本土や海外の企業がせっかく沖縄に喜んで進出するような現状を、あえて冷めた目でみるウチナーンチュはビジネスが下手といえないだろうか。その中に飛び込んで、自分が主体的にプレイヤーになると考えればいい。少なくとも沖縄県(や国)はインフラは提供するが、プレイヤーではない。プレイヤー不在で失敗した場合、その責任は県庁ではなく、プレイヤーを出せなかった沖縄そのものを恥じるべきだと思っている。」

自分がプレイヤーになればいい、という発想は刺激的だったようです。若いうちにあちこち飛び込んでほしいとエールを送ったつもりです。

懇親会で印象だったこと (2) 初音ミクニコニコ動画文化はもはや常識

講義の中で「初音ミクが米国デビューしたことをどのくらい知っていますか?」と尋ねたとき、反応が鈍かったので、まだまだマイナーなのかと思いました。ところが懇親会の場で、「あまりにも常識なので、手をあげる人がいなかった」と知らされ、あっと思いました。「AKB48を知っているか?」と若者に尋ねる間抜けなおじさんだったということです。

彼らの話を総合すると、もはや既存の芸能界の動きにはとりたてて興味がないという10代、20代の姿がみえます。CDを中心とする販売戦略はとっくに死に体であり、ニコニコ動画でアレンジされた曲を探すのが今風。この感覚を共有できる世代が芸能、ファッション業界を牽引する必要があるでしょう。初音ミクを知らないという人が企画書を書いても訴求力がない、ということです。

(ちなみに私はニコニコ動画のプレミアム会員だと話したところ、一気に盛り上がりました。娘にせがまれたんですが、私自身も弾幕文化は面白いと思っています。)

まとめ

就職活動を控えた 3 年生、4 年生との交流でしたが、いずれも前向きで頼もしいと感じました。「学生なので技術はないが、やる気はある。」という若さは武器です。願わくば、その若さを使って海外の企業に就職してほしい。そこで人脈をつくり、数年後に沖縄(日本)と海外を結ぶビジネスマンになってほしい、と話しました。よって英語は必須です。大いにがんばってください。