青学大学院公開講座「ベンチャー経営におけるおカネと人生の管理術」に参加しました

さった8月28日、青山大学で行われている公開講座に参加してきました。
http://www.facebook.com/event.php?eid=273763465971121

インフォテリア株式会社の平野社長による Facebook での呼びかけで知りました。宋文洲さんが講演されるとあっては参加しないわけにはいきません。当日は日曜日の夕方にもかかわらず多くの社会人が参加し、盛り上がりました。

宋さんはいわずとしれたベンチャー企業経営者です。29歳で創業され、42歳で東証一部上場後に経営の第一線から退くという経験をされています。(私も今年でちょうど42歳ですが、引退とはまだ縁遠い状況です。これは人それぞれということで。)

さて講座では宋さん自身の半生を振り返りながら、印象的な体験を語られました。その中で私の印象に残ったのは次のような言葉でした。

  • 経営者である前に、人間でありたい。
  • 人生の管理テクニックはあるが、たかが知れている。テクニックに頼ろうとすると失敗する。
  • マネジメントの存在の前に、心が必要。
  • 夢はないが、目標をもつようにしてきた。何のためにやるのか。また、そのためには犠牲になるものもあると考えた。
  • 人生の満足度は「私が世の中をどうみるのか?」だけである。お金や、地位には必ずしも依存しない。
  • ベンチャー企業には信用がない。それを認めること。目標実現のためにプライドを捨てるのが、本当のプライド。信頼がなくても落ち込んではいけない。それを受け入れると強くなる。堂々と「踏みつけてください!」と言うことができれば、ベンチャー企業としてやっていける。
  • 社員を育てるのと子供を育てるのは一緒で、育てられない。祈る気持ちで環境をつくるしかない。
  • 運命論と、経営学は矛盾しない。ひとつの物事を両面からみることができる。時間が経てばわかる。
  • ベンチャーは倒産というリスクがある。リターンはたまにちょっとだけあるかどうか、というのが実際のところ。失敗したときほど、家族のありがたみがわかる。

「人生の管理術」という具体的な手法ではなく、「(人の)生き方」についての根源的な問いに言及することで、参加者に多くの気付きを与えたのではないかと思います。私自身は "これまでの体験を通して得たものは、お金ではなく、家族のありがたみ。"、そう語る宋さんの姿勢に共感しました。

宋さんをはじめ、私が背中をみている多くの先輩経営者は、ピンチのときに冷静さと余裕を失わず、全力で乗り切るという鉄人ばかりです。経営者は二律背反する問題から逃げずに、正面から苦渋の選択を行います。そのようなときにあれこれ言い訳をせず、自分がやらなければならないという覚悟を持つ。そういう人に私はあこがれますし、そうなりたいと思っています。

しかし考えてみると、それは経営者だけに与えられた課題ではありません。日々、どういう形であれ、この社会と関係をもって生きるすべての人間にとって、直面する問題です。そのとき「人間として正しい生き方をするよう、自分にしっかりとルールを持つ。」ことがいかに難しく、しかし大切なことであるか。私が尊敬している人達は経営者に限らず現場のリーダー、技術者など、さまざまなポジションにいますが、いずれも共通して、ある種の芯をもっていらっしゃいます。宋さんが冒頭に語った "経営者である前に、人間でありたい。" という言葉がずしりと響きました。

"自分は経営者という前に、そもそも人間として間違った行いをしていないだろうか?"

この点を省みる機会を与えていただいた宋さんと、平野さんに感謝です。