Wagby 無償版の提供を終了します

この10月1日をもって、5年半続けてきた Wagby 無償版のダウンロードサービスを終了することを決めました。これまでの累計ダウンロード数は 40,000 本を超えており、多くの方々に「Wagby」を知っていただくことができました。本当にありがとうございます。

私たちが無償版を提供してきた理由は、第一に知名度向上というマーケティング戦略です。第二に無償版を気に入っていただいた方に有償版に切り替えていただくというアプローチです。第一の目的は Google で「ノンプログラミング」というキーワード検索が一位をキープできていることから、一定の評価が得られたと思います。しかし第二の目的の成果は期待値を大きく下回る結果になりました。有償版の成約率は 1 % 未満であり、さらに注目すべきことは「年を追うごとに Wagby の機能拡張がされているにも関わらず、成約率は微減する」という現象が生じたことです。私は逆になると期待していたので、これは意外でした。

Wagbyがターゲットにしている業務アプリケーション開発のニーズが年々、減ってきたという仮説があります。しかし毎年の Wagby ダウンロード数は一定です。このことから「つくるものがなくなった」のではなく、「本来、つくりなおしをしなければいけない時期であるにもかかわらず、そうしない」のだろうと思われます。理由はお客様による開発コストの負担ができないということでしょう。そのために一部の SIer では「初期費用0円、月額契約」というサービスを開始しています。これは非常に興味のある価格体系ですが、これによって多くの開発契約が受注できたようには見えません。月額契約でも厳しいというのが中小企業の実情でしょう。

Wagbyのダウンロード比率は東京が 25%、それ以外の都市で 75% という状況であるという裏付けもとれました。ところで有償版への切り替え率は東京に集中しています。このことから、ダウンロード数をいたずらに増やしてもWagbyの売上には貢献しないということ。それどころか Wagby は無償 = その程度のツールというマイナスのブランディングになっているようだということもわかってきました。これも私の意図とは異なるものです。

「日本国内の95%以上は中小企業であり、そのIT化は遅れている。これはビッグマーケットである。」という視点は事実でしょう。私たちはこの市場に対して「簡単に開発できるツールの提供」というアプローチで開拓を試みましたが、「無料で提供されている以上のサービスは不要」という壁を超えることができませんでした。Wagbyを単なる開発ツールとして捉えるのではなく、企業の経営にいかに役立てていただけるか。この点をアピールするには、現在の無償ダウンロードサービスという枠組みでは、うまくいかないという結論に至りました。

Wagbyを使いこなすことで企業の競争力をつける。Wagby を単なる便利ツールとしてではなく、より費用対効果の見える「サービス」として洗練させることが、私たちの次の目標です。ここでいったん仕切り直しとし、現在開発中の Wagby R7 で、この目標を具体化させる新しいマーケティングをあわせて考えていきたいと思います。