Jobs のようなリーダーになるとは、どういうことなのか

Steve Jobs 氏は、一代でベンチャー企業を世界一へと導きました。特に近年は、期待を裏切らないプレゼンテーションも賞賛されており、まさにカリスマになっています。

そんな中、興味あるブログを読みました。米国 Apple 社で16年間勤務していたという日本の方による、社内からみた Jobs はどういう人だったかを知る内容です。
http://matsuhiro.blogspot.com/2011/10/steve-jobs.html

「世界中から期待され、熱狂的なファン層に支持される会社にしたい」と考える経営者、そして社員は少なくないと思います。私もその一人で、いつの日か世界中に Wagby のファンを広げたいと願っています。しかしそのために具体的にどうすればいいのか。このブログは、中途半端な憧れを容赦なく打ちのめす事実を示しています。いわく、

  • 社内が恐怖から畏怖に変わるまでに、トップの独裁主義を貫く。
  • 世界中のファンに喜んでもらうために、心血を注ぐほど仕事に没入する環境に追い込む。
  • しかしプレッシャーが厳しい分だけ、達成できたときの満足度はすこぶる高い。

考えてみれば当然かも知れません。特に細かいことにこだわることで定評のある日本の顧客をも満足させるAppleのこだわり。これを実現するための社員のエネルギーは生半可なものではないでしょう。中途半端な製品では、あっという間にファンは見限ります。私も開発を主導する立場として、よくわかります。「現在の技術では、ここまでできていれば十分すぎる」と判断する開発陣に対して、「顧客はさらに上を望んでいる。このレベルではダメだ!」と言い切り、やり直しを命じるトップ。しかも納期は変わらない。そういう状況の積み重ねで、ようやく勝ち取れる賞賛の声。これが世界トップ企業に課せられた厳しさです。そしてこれを実現することが「プロフェッショナル」な仕事なのだと思います。

「当社にも Jobs のようなリーダーがいればいいのに。」という発言は、おそらくApple社の重圧を知らないのです。しかし世界一を目指すとは、そういうことです。ジャスミンソフトも厳しくあろうとしていますが、さらに上がいます。そのレベルに至らないのは、私の未熟さでもあります。では Jobs のようにすべきなのか、できるのか。この問いに対して唸ってしまうのは、まだ経営者として甘いのでしょう。しかし大切なのは部下の満足度は、必ずしも給与や待遇の良さだけではないということです。厳しさの先にある達成感こそが、真の顧客満足度と社員の満足度につながる。これが王道なのだと気付かされます。

国内でもソフトウェア、特に自社製品(パッケージ)を主力に世界でビジネスをしようという高い志を持った経営者がこういった方針を実践されています。そういった経営者が集う団体が MIJS です。私は諸先輩経営者から学ぶつもりで入会しました。ここからは多くの刺激を受けます。目標とする会社もあります。その MIJS が今度、沖縄でワークショップを開催することになりました。
http://www.mijs.jp/section/event/20111020/

20名を超える国内トップクラスの経営層が沖縄に集い、日本のソフトウェアへの情熱を語ります。是非とも沖縄県内のソフトウェア関係者や就職前の学生にお集りいただき、お互いに刺激を与えあう場にしたいと願っています。

ここ数年で、沖縄はソフトウェア技術者のレベルが上がっています。少数とはいえ、すでに世界と闘えるタフさを備える人材も成長しています。あとは実際に世界に目を向けて進む経営者が必要です。沖縄から世界に通用する企業を出すということは、Apple 社のように世界中からのプレッシャーを受けて立つ気概が必要です。間違っても、楽に儲けようなどと思ってはいけません。私たちは、実際にそれができるプレイヤーになれるのか。そういう覚悟をもった仲間(社員)と一歩一歩前に進むこと、その実績で語るしかありません。ジャスミンソフトの視点でいえば、Wagbyの製品としての完成度が、今の会社の実力を示す鏡だ、という気持ちで日々の業務をこなすことです。