カブドットコム証券株式会社の経営哲学に学ぶこと

先日のシステムイニシアティブ研究会は、カブドットコム証券株式会社の齋藤社長によるご発表「IT経営によるユーザ主体性の真骨頂」でした。

http://system-initiative.com/wp/?p=1841

 

当会の参加者は50代以上の方々の比率が高いのですが、齋藤社長は40代で、私より少し年上です。その齋藤社長が説明する経営手法が明かされるたびに "こんな経営方法は斬新だ。" という声が漏れ聞こえてきます。

しかし同じ40代の私にとっては、その手法が自然であり、特に違和感を感じないということに気付きました。

 

齋藤社長はよくご講演されるということなので、持ちネタをここで紹介することはやめておきますが、私なりの解釈では、次の経営哲学を実践していらっしゃいます。

 

・徹底した情報の公開をとおして、顧客の信頼を得る。それは都合のよい、悪いをあえて判断せず、定期的にすべての情報を原則、公開する。

 

・多様性を重んじる。年齢、性別、学歴、国籍の壁を取り除くことで変化に強い組織づくりを行う。

 

もちろん、齋藤社長以外でも、このようなポリシーで経営されている会社はあるでしょう。しかし日本企業の中では少数派といえます。

 

多くの企業は「情報が非公開であること」に価値を見出していました。情報の非対称性がビジネスモデルの源泉であり、それがそのまま交渉力へつながります。知らないことは損であり、得をするために情報を自ら集める必要があります。

 

しかし齋藤社長をはじめとする、新しいタイプの企業経営者は「情報の公開と共有」に価値があると考えています。情報公開が(製品・サービスへの)信頼性につながり、結果として多くの人に選んでもらえるようになる。特許による囲い込みよりも、使ってもらうための標準化戦略を重視する。自社ノウハウも積極的に公開することでファンをつくり、それを次のビジネスにつなげる。

 

さらに「多様性」を重視することで、マーケットは最初から世界を標榜する。国内市場にこだわらず、特定顧客向けのカスタマイズもなるべく行わない。今あるものを使ってもらえる顧客を世界規模で探す。

 

その代わり、購買層にとっては情報過多となるため、今度は取捨選択することが求められてきます。

 

いずれも一長一短ありますが、時代は情報公開と、それに伴う取捨選択の能力に磨きをかけるという流れになっていると感じます。

 

私自身は、このような価値観に基づく経営スタイルに共感しますが、省みてまだまだ、できるところがあると反省する、よいきっかけになりました。

 

また一つ、自分の中で理想とする経営方針が新たに加わった、貴重な研究会でした。