高知県の元気な3つの企業を訪問しました

さった10月11日に開催されたMIJS土佐ワークショップの翌日、地元企業であるタイムコンシェル様のお力で、高知県から全国・世界を見据えてビジネスを行っている3つの企業を訪問させていただきました。当日はMIJS会員企業数十名のメンバーがバスにのって企業訪問し、行く先々で刺激を受けたところです。

株式会社山岸竹材店 様(竹虎)

創業118年という竹専門店です。ここでしか採れない「虎の斑が浮き出る竹(虎斑竹 とらふだけ)」を使った、さまざまな商品を販売されています。
http://www.taketora.co.jp/

このサイトは通販を行っていますが、それだけではありません。会社の歴史、出火による全焼事件などをへて、どのように社業を営まれてきたかをわかりやすく説明されています。
http://www.taketora.co.jp/taketora/ta0002.html?grid=gNavi

当日は実際に、山を登って竹を見てきました!そこはお遍路コースの一部でもあり、革靴で汗をかきながらついていったのですが、そのかいはありました。壮大な風景で、なぜかこの一帯でしか生育しないという、特別な竹についての講義を受けたのは良い経験になりました。

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竹虎様は、希少資源である虎斑竹を次世代に残すという使命感、そしてこの虎斑竹でつくったアイテムを世界で使ってもらうという目線をはっきりとお持ちでした。地元でしかやっていくことができない(虎斑竹はここでしか採れない)という点を弱みではなく強みととらえ、インターネットを介して世界中に販売するという戦略は見事です。

ニッポン高度紙工業株式会社 様

高知県に古くからある、「紙」の会社です。ただし印刷紙ではなく、高度紙という分野に特化されており、さまざまなデジタル製品に欠かせない部品を支える、世界でも重要な位置づけの会社となるまでに成長されていらっしゃいます。
http://www.kodoshi.co.jp/

機密事項の固まりという工場内部の見学も許可していただけました。メーカーが「不可能」と手を上げた作業工程案に対し、「ではこういう仕様でつくってほしい。ラインがうまく動かなくても責任は問わない。」という形で製造してもらい、見事にラインが完成。おそらく世界唯一となるそのラインで、高度紙を製造されていました。

高度紙も最初は、薬剤煎出袋としての用途しか見出せなかったとのこと。それが大戦中、コンデンサ用セパレータとして使えることがわかり、戦後もこの分野に特化して成長されていきます。「紙」という一般的な分野であっても、高度化することで新しい市場を開拓できるという、勇気づけられる戦略です。

株式会社技研製作所 様

建設現場の新工法「インプラント構造」を編み出した独特の企業です。わかりやすいビデオと、実際の(巨大な)機器で説明され、この工法が実に合理的であることが良くわかりました。
http://www.giken.com/ja/

これまでの堤防は(東日本大震災で発生したような)巨大津波に耐えられないが、インプラント構造なら耐えられること。
また、仮設部を用意することなく、すぐに工事に着手でき、狭い場所でも利用できるため、地下開発などにも有効であること。

写真は、創業者による1号機です。こういうのを飾ってあるのは、ちょっと嬉しいですね。
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お話を伺っているうちに、我々の業界にも適用できるテーマであると感じました。以下は私見です。

  • 昔から知られている手法であるが、技術的に困難であったため、誰もやらなかった。そこを実現した、というブレークスルーがあった。
  • 仮設工事を不要とするためコストを削減できるが、それはこれまでの工事見積に波紋を投げ掛けるもので、多くのメーカーは難色を示すのだろう。
  • 一つ一つ成功例を積み上げていくことで、いよいよ現在は国が発注する工事でも採用いただけるようになってきた。

技術革新の当然、困難が伴います。また、それを達成しても業界の反発があり、さらに大規模案件への適用に至るには、多くの実績が必要です。ベンチャー企業の道程を、しっかりと歩まれていることに感銘を受けました。

まとめ:3つの企業に共通するもの

いずれも「地元に根ざすが、技術・品質は世界トップを意識」されていらっしゃいます。そこに地元企業の活路があると感じます。地元企業だから地元のお客様を相手にするだけしかない、という理屈は、ここにはありません。高い視点をもちながら、目の前の課題を着実にこなしていく、そういう企業に私たちもなりたという気持ちを、改めて強くしました。

非常によい企業訪問でした。あらためてタイムコンシェルの皆様、MIJS事務局の皆様に御礼申し上げます。同時に、高知県にできるなら、沖縄県でもできる!という信念を持ち続けたいと思います。