「超高速開発が日本を救う」レポートから読み取る時代の変化

日経コンピュータ2012年3月15日号の特集記事「超高速開発が日本を救う」は、業務アプリケーション開発の新しい潮流が着実に広がっていることを示す良記事でした。業界関係者には是非とも一読をお薦めします。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NC/20120309/385541/?ST=NC

私も記事を読んではじめて知ったのですが、「ビジネスルール管理システム (BRMS)」という分野になるのですね。当社の Wagby も、この範疇の製品に位置づけられるようです。

事実:プログラムの自動生成はメリットが大きい

2012年現在、各 BRMS 製品のレベルは確実に上がっていることがわかります。

  • 業務ルールを実行するプログラムは自動生成できる。
  • 詳細設計、プログラミング、単体テストの工数はゼロに近づけられる。
  • 業務ルールはプログラムと分離して管理できる。
  • システムの肥大化を防ぎやすくなる。
  • システム保守のスピードアップにもつながる。

本記事では「ビジネスルール特化型」「オール・イン・ワン型」という区分で代表的な製品を紹介しています。当社の Wagby は後者です。記事には次のように書かれています。

自動生成できるプログラムの対象範囲などに違いはあるものの、2種類のBRMSには共通点が多い。最たる例は、なんと言っても、詳細設計から単体テストまでの工数を大幅に減らせることだ。これが「攻め」の武器となる。要件を固めた後、間を置くことなく、実際に動作するシステムを使ってレビューできる。要件の修正もすぐに反映可能だ。

コスト削減という「守り」に効くのは、業務ルールを可視化して一元管理できることだ。これにより、業務ルールの作成・変更の際に属人性を排除しやすくなる。プログラミングをなくすことによってバグを減らせる点も、トラブル対応にかかるコストの削減につながる。

うまい表現です。Wagby のような製品の特徴を、コンパクトにまとめられていると感心しました。

国内15社の事例のうち、2社でWagbyの採用が公開

記事中にある国内15社事例のうち、オール・イン・ワン型の採用で紹介されているのは 9 社。うち 2 社は Wagby の採用例です。「スミセイ情報システム」様と「国際航業」様は、いずれも Wagby ユーザー会に名を連ねており、積極的にご活用いただいています。どうしても海外製品が先行しがちなパッケージ市場の中で、Wagby をはじめ国内勢が現場で使われているという事例があることは喜ばしいことで、励みになります。

もちろん記事中には良いことばかりではなく課題も明記されています。ただ、それらの課題は "採用しない" 理由にはならないことでしょう。いずれも、今後の各社製品のバージョンアップによって解決可能なレベルだと感じます。それよりも、採用したときのメリットの方が余りあるといえます。

「作らない開発」の先にある SI の新しい存在理由

この記事には、興味深い提言が含まれています。

BRMS の普及は、システムの品質や開発効率の向上につながる。これは技術者にとっても歓迎すべき流れだろう。徹夜でのプログラミングやテスト、バグによる緊急のシステム障害対応といった「肉体労働」の軽減につながるからだ。

一方、技術者にとってはスキル転換を迫られるという側面もある。
(中略)
むしろ影響を受けるのは、設計書の通りにコーディングしたり、チェックリストに沿ってテストをこなしたりしている技術者であり、そういう仕事を中心に請け負うシステム開発会社だ。

単純なプログラミングの仕事は、すでに中国やインドなどの新興国にシフトしている。"脱プログラミング" の流れが、BRMS によって加速することは間違いない。

その時、日本の技術者はどうするのか。

(省略:重要な提言なので、直接、記事をご参照ください。)

私は「作らない開発」の先に、新しい SI ビジネスの大鉱脈があると確信しています。「作らない」前提でお客様とどうお付き合いしていくか。私たちはすでに具体的なビジネスモデルを見つけています。この経験を今後、多くの方々に伝えていければと願っています。