「軽減税率がITに与えるインパクト」をどう捉えるか

「軽減税率がITに与えるインパクト」という、大変興味深いブログを読みました。
http://d.hatena.ne.jp/okachimachiorz/

今回の消費税対応は困難さを伴うだろうという指摘ですが、はっとさせられるのは次の指摘です。

最後に、何が凄いって、こういう騒動になってもですね、最終のお客さんから見るとまったく付加価値が上がっていないってことですよ。

付加価値の上がらないことに多大なコストをかけてシステムを改修せざるをえない、というのは多くの経営層にとって「これだからITは(金食い虫)」という印象を強く与えてしまいます。この業界にいる身として辛い。しかし、どのみちやらないといけない事案であれば、ここは前向きな発想でのぞみたいと思います。

ピンチをチャンスに - どうせなら未来に残る投資を

避けて通れないシステム改修に対する経営層の選択肢は、大別すると次の二つです。

  • できるだけ最小のコストで現行システムを改修する。これまで抱えている問題は(今回も)先送りの方向で。
  • この機会に業務フロー見直しを含む全体最適化に取り組む。コスト負担は増えるが、攻めの投資と位置づける。

もちろん後者の選択をお薦めしたい立場ですが、ことはそう簡単ではありません。ただでさえ複雑な税対応と、業務フロー見直しなどという現場を巻き込む一大イベントを並行で進めれば、プロジェクトそのものが破綻しかねないリスクを孕むためです。

そこで私の提案は、いよいよ外部有識者に相談する、です。必ずやらなければいけない税対応を基軸としつつも、当社の問題点は何かを関係者(現場、営業、システム担当、経営層)で共有し、対応の優先度を決めます。その際、これまでまったく無関係、つまりいずれの立場の当事者でない専門家を招聘し、コーディネーターに徹してもらって会を進めるといいでしょう。場合によっては数ヶ月を要するかも知れませんが、このような会議は誰もが、いつかはやらないといけないと思っていたことです。ここで方向性を固め、関係者が同じ目線を共有することはプロジェクトを円滑にすすめるための信頼関係の構築につながります。

つまり税対応を手段(システム延命か、パッケージ購入か、または再開発か)から考えるのではなく、これをきっかけに今回のシステム投資の目的・位置づけをはっきりさせることが、急がば回れになる、ということです。

現時点でできる最良のアドバイス

それは「やるからには、早めの着手を」です。同様のテーマは過去に何度もありました。早めに動けば、よい人材を確保でき、余裕をもって進めることができます。期日ぎりぎりになるほど、妥協の連続につながり、結果的に無駄な投資になりかねません。

いよいよとなったときにいくらお金を積んでも良いシステムにはなりません。システム改修の投資が、その企業にとっての活きたお金の使い方につながることを願っています。