新人研修を補完する 3 つの助言

新年度に入り、各社で新人研修が始まっています。技術指導は各社の現場で行っていますので、それとは異なる切り口で3つの助言を私から新人の皆さん向けに贈ります。

研修が終了しても、挨拶をする習慣をつけよう

研修期間では皆さん、とても挨拶が上手です。こちらも聞いていて嬉しくなります。この習慣をこれから一生、継続してください。挨拶には職場を明るくし、周りを幸せにする効果があります。そうはいっても偉くなったら挨拶しなくていいのでは? と考えている方もいるでしょう。個人的には逆だと思っており、次の言葉に惹かれていますので紹介します。

実るほど頭を垂れる稲穂かな

20代前半で、教養を身につける習慣をつけよう

研修ではプログラミングなどの技術教育や英語スキルの向上、業務知識を学びます。しかし実はもう一つ、皆さんのオフの時間をつかってでも学んでほしいことがあります。それは "教養" です。具体的には世界で通用する文学、美術、音楽など、いわゆる一流と呼ばれるものを見聞することです。特に古典は、時代を超越して現代まで残っている理由があります。それを自分の中で落とし込むには、時間がかかります。1回読んだ、観た、程度ではわかりにくいものばかりですが、その本質に触れたときの感動はひとしおです。

それが何の役に立つのかを一言で説明することは難しいです。ただ経験上、カリスマのあるリーダーは皆、高い教養をもっていらっしゃいます。それも単なる知識としてではなく、その教養を自分流に解釈し、日常生活に実践するまでに昇華していることさえあります。そして教養を身につけるのは付け焼き刃では難しいのです。

休日の楽しみがパチンコ、麻雀、ゲームなどであったという人は是非、社会人になったタイミングを契機に、時間の使い方を見直してみてください。教養を学ぶには遅すぎるということはありませんが、続けることが大切です。

ちなみにとっかかりとしてお薦めなのは、NHKの「スーパープレゼンテーション」です。私も毎週録画して、できるだけ子供達と一緒に観るようにしています。ここから面白い、と興味をもった分野を自分なりに深堀していくと幅が広がると思います。

"お金がほしい" を顔に出さない習慣をつけよう

「それにつけても金の欲しさよ」という言葉があるように、人間だれもがもっている欲求の一つで、それを否定することはありません。しかし、それを心の奥に秘め、将来の成功を目指して努力する人は、顔に出ません。わかりやすく顔に出ている人とは言外に「努力しないで、お金がほしい」という気持ちを少なからずもっています。危険なのは、現代社会ではその気持ちにつけこむ商材が氾濫しており、速攻でカモにされてしまうことです。カモられる経験をしてしまうと、そのあとの人生で社会に対する恨みが残ることでしょう。それは社会全体の損失でさえあります。(その場合は高い授業料だったと割り切って、尾を引かないようにしましょう。)

特に新人の時期は、給与の差を意識しないことです。たかだか数千円の違いは何でもありません。数万円の差であっても動じることはないのです。目の前の1万円を取りにいくのではなく、将来の100万円を目指して、今、努力を継続するのだ、という気持ちで臨んでください。


以上の3点は、どれも効果が現れるまで時間がかかるものばかりです。そのため「これから新しい生活スタイルをつくっていく」今の時期に、習慣化できればとても強力だと考え、文章に起こしてみました。皆さんはいずれ一人残らず、何らかの役割をもって日本を牽引する人材になります。将来の成功を目標に掲げて、がんばっていきましょう。そして私自身は、新人の皆さんが将来のライバルとなることを楽しみに、かつ負けないように日々、やるべきことをやっていこうと思います。