ジャスミンソフト第16期を迎えるにあたって

2014年10月より、第16期を迎えます。(変則決算を経験したため社歴は13年と半年になります。)

10年前、当社は有限会社から株式会社へ変更し、沖縄振興開発金融公庫からの投資で東京に事務所を設置しました。また、Wagbyの原型となる製品(当時はJasmineSoftHarvestと呼んでおり、Wagby体系でいうとR3に相当)を発表しました。当時に思い描いていた未来と、現在はあまりにも違っているのですが、奇跡的に!関わっていただけた皆様のおかげで、社業を継続できていることを改めて感謝しています。

この10年、自分の中で変わったことを整理してみました。

成長よりも持続性を重視するようになった

創業当時は大きなプロジェクトの受注に一喜一憂し、プロジェクトの運営で必ず発生する、人間関係の問題に苦労していました。関わる人が増えるに従って、対応すべき課題も山積します。当時はさばけないほどの仕事量があったため、資金繰りの苦労はありませんでした。会社の成長は、売上規模と社員数で測れると考え、(おそらく他のベンチャー企業と同じように)規模を重視していました。そのしわ寄せとして、スタッフに過重の負担をかけたと自覚しています。

やがて、その環境が変わっていきました。得意としたのは高単価だが新技術にチャレンジという開発業務でしたが、そのような案件はいつまでも続きません。そこで受託事業や公募事業を中心とした規模を追う方針から、何か特化した武器(製品)を磨く会社に変えたいと考えました。最初は沖縄県や国の研究開発に関わる公募事業の獲得に熱を入れましたが、いつまでも補助による開発では自立できないことは明白です。問題は新製品の開発はバクチ的であることと、製品が出来上がるまでの資金繰りでした。その不安を取り除くために、またがむしゃらに時間をかける日々が続いたのですが、そう簡単にうまくいきません。そこまで追い込まれてようやく、持続性、という言葉を実感できるようになりました。

一度、市場に製品を投入したからには、簡単に撤退はできません。継続的に発展するためには、同じ開発者に長くとどまってもらってノウハウを蓄積することが大切です。そうなると体を壊すように働いて短期的成功を目指すのではなく、長く働くためにどうするかを考える必要があります。ちょうどその頃、チェンジビジョンの平鍋社長とお会いして "Quality of Life" の重要性で意気投合しました。製品開発型企業への体制シフトは、ごく自然に社内を少人数チーム化とアジャイル開発に向かわせました。結果として、規模の成長は「後からついてくるもの」と割り切り、お客様からの要望(タスク)をどこまで製品に取り込めたかというロードマップの達成、つまり製品の成長を重視するようになりました。その代わり、わずかな資金繰りのミスも許されないという苦労がついてまわることになります。

紆余曲折ありましたが、10年前にWagbyの開発に携わっていたスタッフは今も現役かつ第一線で活躍しており、当社の宝になっています。少人数であってもお互いに調整しながら休みをとり、無駄な無理はせずに継続性を重視するという社風が培われてきました。今はこの社風を大切にしたいと思っています。

Wagby 代理店の成長なくして当社の成長なし

正直に言えば、Wagby ベースの大型案件を受注できたWagby販売代理店の営業や開発チームに対して、羨望を感じることはあります。しかし私たちは製品本体の開発に集中し、受託案件は代理店に一任するという方針をこれからも堅持します。Wagbyを使っていただけることで「ビジネスが成功する」という事例が数多くでなければ、Wagbyの価値につながらず、Wagbyの成功もない、という原則を重視するものです。Wagby代理店になって良かった、という実感をもっていただくことが先で、当社への売上貢献は後、という発想は綺麗に見えるかも知れません。しかし、実践すると例によって資金繰りで四苦八苦します。それでも当社が存続する間は、この路線で進めたいと考えています。

お客様の単価ではなく、付き合いの深さを重視する

これも持続性重視のスタイルと重なるところがありますが、短期的に多くの金額をお支払いいただけても、その後の関係が途絶えるというお客様よりも、長くじっくりと Wagby という製品に関わっていただくお客様との関係を重視するようになりました。単純化すれば、お客様は「誰が」Wagbyをつくっているかということを知っており、そして私たちもまた「誰が」Wagbyをどのように使っており、どういう機能追加をしてほしいと思っているかという声をダイレクトに伺えるような、そういう関係性を構築したいということです。ボタンを押して決済完了という世界よりは、よりアナログな世界を意識しているわけですが、そこに人間の仕事という意義があると考えています。もちろん、そこには開発に携わったWagby代理店の開発者も交えていることは言うまでもありません。

例えば11月7日に開催されるWagby Developer Day 2014は、お客様と弊社のスタッフが直接、会って話ができる重要な場です。そういう機会をとおして、Wagbyという製品はこういうスタッフがつくっている、という作り手の顔を見てもらい、製品の先にある人間同士がお付き合いできるような、そういう関係性が構築できることを願っています。

第16期の抱負

第一四半期となる11月の Wagby Developer Day 2014 を皮切りに、Wagby採用社数 300 を目指します。新しい出会いと、これまでのお客様との関係性維持の両方に目配りし、Wagby という製品を一つのきっかけにして、お客様・販売代理店・当社の3者が満足できる関係づくりを目指します。

引き続き今期もどうぞよろしくお願いします。