ハッピーバースデー15歳のジャスミンソフト

ジャスミンソフトは2015年3月14日をもって14年が経過し、15年目に入りました。受託開発からパッケージ主体へと会社を転身させた結果、両方の視点でエンタープライズアプリケーション開発に関われるというのは貴重な体験です。

その体験で感じたことの一つとして、エンドユーザからみたパッケージソフトベンダーとの距離感というテーマで書いてみました。

ユーザーは、パッケージ製品の使い方に戸惑っている

日本のエンタープライズアプリケーション開発は「請負契約で、すべてSIerに丸投げ」するか、「内製で、すべて自分たちでやろう」とするかの、いずれかに偏る傾向があるようです。ここに (Wagbyのような) パッケージを導入しようとした場合、次のような判断を行いがちです。

  • 一部でも希望する要件が満たせない場合、他のメリットを捨ててでも、採用を見送る。
  • 採用した場合でも、満たせない要件については、自分たちで回避策を見つけようとする。

共通するのは、販売代理店または(製造元である)当社とのコミュニケーションをとって「早く解決しよう」という発想が乏しい、ということです。前者は「誤解もしくは、代替案がある」という可能性を知ることができません。後者は「製造元に伝え、製品そのものを改良してもらう」という解決方法を逃してしまいます。

私からみると、大変にもったいない話なのですが、そうしない理由は「採用が決まっているわけでもないのだから、あまり積極的にコミュニケーションをとることもない」「採用を決めた後も、むしろ外部とのコミュニケーションにかかる手間の方が高い」と感じられているためではないか、と仮定しています。できるだけ外部の力を入れずに開発体制を敷く方が楽だ、というのは、外部との距離感のつかみ方に馴れていらっしゃらないと言い変えることもできそうです。

ではどうすればいいのか。私が考えたのは、話しかけやすい雰囲気づくりをする、ということです。"怖くないです、ふっかけるつもりもありません、お気軽に尋ねてください。" と一方的にアピールしても、かえってひかれてしまうでしょう。まずはWagbyのオープン性を担保し、第一印象を良くすることです。ということで、これまで次の施策をとってきました。

  • 製品に関する情報をすべて開示する。Wagbyは現在、マニュアルや不具合修正履歴、カスタマイズ方法といった情報を購入前から閲覧できます。購入前と後で閲覧できる内容に差がありません。
  • トライアルキットのダウンロードを無記名とする。メールアドレスをいただいてフォローできればと思いますが、そうするとダウンロード数は 1/10 以下に激減することがわかりましたので、無記名としています。ですのでダウンロードした方への営業活動は一切、行っていません。
  • トラブル情報も開示する。これは主に超高速開発コミュニティの Wagby 分科会で取り組んでいます。事例をご発表いただく方には「発表会場のみの限定」とお伝えすることで、(オフレコならと)かなり踏み込んだお話がいただけます。聴講する側にとっては大いに参考になっているようです。
  • コミュニケーションの機会をつくる。具体的には超高速開発コミュニティ Wagby 分科会をはじめ、年一回開催している Wagby Developer Day を通して、実際のご利用者と、製品の開発者が直接、会話できる場を提供することを心がけています。まだ年一回、東京で開催する頻度ですが、会社の体力をつけて、全国で開催したいと考えています。
  • ご購入前に、複数の販売代理店から話を伺えるようにする。代理店によって Wagby という道具を使った料理方法は異なります。お客様にとっては道具(Wagby)と、料理人(販売代理店)の組み合わせから、もっとも相性のいい企業とお話しができるのがベストでしょう。

このような体制を構築するまでに14年かかりました。が、これでも十分ではありません。特に製品評価中という段階にあるお客様との距離感をつかむことが難しいです。

今、求められているのは

  • 販売代理店の営業窓口を信頼していただけるかどうか

なのでしょう。ジャスミンソフトは直販を行っていないため、最初の接触は販売代理店に一任しています。パートナー企業とはいっても別会社ですので、どこまで踏み込んでいくかには遠慮があります。しかし、最近になって気づいたのは


"遠慮している、というのは本気ではない"


ことの裏返しではないか、ということです。うまくいかなかったのは誰々のせいだ、というようなビジネスはまったく面白くありません。一緒に盛り上がろうとするなら、遠慮する必要はないのです。別会社であっても担当者ベースでは本音で意見をぶつけあう、というプロセスがいいでしょう。

その発想のもとに各社と相談し、第一弾として今年の1月から「Wagbyエキスパート認定技術者」制度を発足しました。
http://wagby.com/partner.html
ご覧いただけるように、顔写真付きというのは覚悟が違います。各社のエース級ですので、私も大変ありがたいです。


これからの私のテーマは、販売代理店を含め、多くの社外の方を「巻き込む」力を高めることです。これによって Wagby に関わっている人たちはどうも


"楽しそうだ"


という流れをつくることができれば、自然と話しかけやすくなるでしょう。人は、楽しそうだと思える場には自然と体が向きます。もちろん最初のスタートは、私自身が楽しくやっているか、ということですが、


"悩み、なさそうですよね?"


とよく言われますので、大丈夫でしょう。今期もあと半年ですが、さらにいろいろな企画を立てて盛り上げていきたいと思います。