Wagby導入社数300社からみえてくる、SIer向けビジネスモデルの形

この3月で当社も16年目に入りました。16進数表記で「0x10」となることから、勝手に 0x10 周年と呼んでいます。きたる 5 月で、Wagby が世に出てから 10 年になります。そしてこのタイミングで、Wagbyの導入社数も300社となりました!

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会社が 0x10 年目、Wagby が 10 年目、そして導入社数 300 社超えという、きりのいい数字が並ぶため、今年は大きく飛躍の年にしたいところです。ここまでの道程は楽ではありませんでしたが、ユーザー様、そして弊社を支えていただいているすべての販売代理店様のおかげとしかいいようがありません。心から感謝申し上げます。

私も幹事として参画している「超高速開発コミュニティ」も活動開始から2年半あまりとなりました。コミュニティ設立を機に、超高速開発というキーワードはユーザー企業を中心に認知度が高まってきたことを実感しています。これと並行して、昨今は「SIというビジネスが崩壊する」という近未来予測も語られるようになりました。この根拠はいろいろあるようですが、個人的にはユーザー企業自らが内製に回帰できるなら、多重下請け構造は解消すると考えています。この点については有識者の間でも「(ユーザー企業の内製化は)できる/無理」というように意見が分かれていますが、Wagbyで内製化を実現するユーザー企業が増えていることから、「もしできるものやら、やってみたい」という企業は相当数ある、と感じています。ニーズがあるということはビジネスチャンスです。しかもこれまで手付かずのフロンティアといっていいでしょう。

内製化ニーズに応えるビジネスの捉え方

SIerにとって、超高速開発ツールを自社受託案件の生産性向上ツールとみなすか、ユーザー企業の内製化支援ツールとみなすかで、ビジネスモデルは変わってきます。Wagbyの導入実績は、おおむね半々というところですが、後者の方式はSIerにとって売上の減少ではないかと不安視されることでしょう。SIerは導入支援とコンサルティング、Wagbyが提供していない機能の実装(カスタマイズ)、そしてクラウド環境での運用支援といったサポート面に徹し、開発の主導権はユーザー企業がもつ、というスタイルです。

SIerにとって一見、(工数減少によって)メリットが少ないように見えるのですが、次のようなメリットがあることもわかってきました。

  • 継続した関係性をつくることができる。これはユーザー企業にとって、(そのベンダーにロックインされたため、仕方なく)追加の開発分を発注するのではなく、「信頼できるパートナーとして継続的に相談したい」関係を指します。仕方なく、というのは、常に(ライバル企業がより安い単価を示してしまえば)取引中止の危険性をはらむものですが、パートナーとしての信頼関係ができると安定します。
  • SIerの開発担当者の満足度が高まる。言われたものを作るという関係から、時には作らないという提案も含め、業務全体を俯瞰して話をすることができるようになると、ユーザー企業からも一目置かれるようになります。担当者にとって、自分が信頼されている、と感じられることはSE冥利に尽きるものです。
  • 既存システムとの連携、クラウドの活用、IoT の活用など、SIer からお客様へ提案できるテーマは多岐に渡ります。業務アプリケーション部分のコストが下がった分、いわゆる未来への投資提案が行いやすくなります。ここで業務アプリケーション分野でしっかりとした信頼関係を構築できていれば、投資案件の話が行いやすくなります。それこそが SIer にとってのビジネスチャンスです。

つまり、従来型の業務アプリケーション開発分野のコストを削減するかわりに、投資案件の受注獲得を目指すモデルです。このためには業務アプリケーション部分でしっかりとユーザー企業との信頼関係が構築できていることが効いてきます。IT 投資は SoR と SoE に大別されるようになってきたため、どちらか片方だけではなく、両方できるようになれば SIer の活躍の場が広がります。ここで SoR 分野で圧倒的開発生産性を示し、SoE 分野の戦略的投資案件の受注を目指すというのは、のぞましい成長戦略ではないでしょうか。

Wagby が得意とするのは主に前者の SoR 分野ですが、構築したシステムは SoE 分野のバックエンドとして機能する(例えば REST API 経由で業務データを操作できる)ため、結果的には両方をカバーすることができます。このように広い視野で捉えれば、Wagby によって開発工数が減る、という目先のデメリットよりも、もっと大きなビジネスに広げられるというメリットの方が大きい、と考えることができます。

SIer の皆様へ、Wagby 活用のご提案

このブログをお読みいただいている SIer の皆様へ、上の主旨にご賛同いただけましたら是非、自社の新しい成長戦略の一つとして、Wagby の活用をご検討ください。SIビジネスといいながら、その実態は人材派遣という図式はもう維持できないと考えている経営層・マネージャの方は多いですが、では具体的にどうすればいいか、というのはまだまだこれからです。その変化を促す一つの潮流が超高速開発ツールの普及であり、少なくともWagbyに関わっている方々は、これが一過性のものではないことを実感しています。

私たちの目標は、多くのユーザー企業に "SoR分野の開発テーマは、Wagbyで。" と検討いただけるようになること、そしてWagby代理店がこのノウハウを生かして「WagbyによるSI」を国内にとどまらず、輸出産業として世界に展開できるようにすること、です。その実現のために、目の前の開発プロジェクトを一つ一つ、成功できるよう努力してまいります。