日経SYSTEMS 2017年2月号 "開発ツール/サービス最新事情「開発レス」再加速" 特集

特集記事では、UQコミュニケーションズ様 Wagby 開発事例も掲載されていました。ありがとうございます。
www.nikkeibpm.co.jp


記事では「昔と違う、今どきの開発レス」という切り口で、PaaS/SaaS を利用したクラウドサービス、超高速開発ツールとして知られる自動生成ツール、最新のSpring FrameworkやJavaScriptライブラリ活用といった方向が示されており、私が日々、体感していることとのズレはありません。またITエンジニアへの提言として "コードを書く量が少ないほどよい、と発想を転換する必要がある" とまとめられており、これもそのとおりだと思います。良記事ですので、多くの現場の方に目を通していただければと願っています。

この機会に、この記事への追記として、ITエンジニアではなく、SI会社の経営陣へ向けたメッセージを書かせていただきます。

本気で派遣業から脱却する最後のチャンスです

今、多くのSI会社が、このような開発レスという取り組みに挑もうとしています。実際、私もたびたび呼ばれて説明に伺う機会があります。ただ残念だと思うのは、「○○というツールを使える技術者を育成すれば、大手から仕事がきますか?」という認識を持っている場合です。

なるほど、そういう発想もあるかも知れません。しかし下請けでは利益率は今と変わりません。そして技術者のモチベーションも上がりません。

そこで私は常に、このようなツールの利用は、ビジネスモデル込みで考えるのがよい、と説明しています。それができる最後のチャンスである、とも伝えています。ここで下請けに甘んじると、もう会社は変わりません。経営陣はこのツールを奇貨として、利益率の改善に本気で挑むチャンスです。本記事の言葉を借りれば、"コードを書く量が少ないほど儲かる、と発想を転換する必要がある" のです。そのためには工数で稼ぐビジネスから、ツールの利用を前提とした業務設計支援へと変わっていくことです。つまり下請けから、お客様にもっとも近い立場で開発に関われるように自社の位置付けを変えていくということです。

また、このような開発ツールがすべての要求を丸呑みできることは稀です。多くの場合、既存システム連携やクラウド連携、凝ったユーザーインタフェース開発などの追加要件といった事案が生じます。そのため、これらの要求をカバーするツール同士の連携で SI を行うという提案力が求められます。ここにも新しいビジネスチャンスがあります。

人の稼働率ではなく、利益率の改善こそが経営陣にとって重要な指標です。利益率の改善は社員の待遇改善につながり、研究投資にも結びつけることができます。ITエンジニアにとっても、開発レスの動きが待遇改善に結びつくならモチベーションも上がります。繰り返しになりますが、それができる最後のチャンスです。

なぜ最後かというと、この次の変革は、おそらく設計から開発工程に AI が関わってくると予想しているためです。ただ、AI が何でも行うわけではなく、AI へ入力できる設計ノウハウをもった SIer だけが次の変革でさらに成長すると考えています。この段階で、下請け的な業務はほぼ、なくなります。社員数規模に関わらず、設計ノウハウをもたない SIer は廃業するということです。私自身はその危機感をもって、開発レス時代の設計ノウハウの本質は何か、をこの数年で体系化したいと考えています。あまり時間はありませんが、Wagbyの代理店はすでにそのようなノウハウを蓄積しつつあるため、一緒になって次の手を模索しているところです。

是非とも私たちと一緒に、この変革をチャンスとして、ビジネスモデルを変えていきましょう。この流れはさらに加速していきます。

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まったくの偶然ですが、日経SYSTEMS特集記事でも、Pivotal Cloud Foundry が大きく取り上げられていました。この技術は今後、標準になるというのが私の読みです。そして Wagby との組み合わせは、現時点での開発と運用の両面の自動化では最高レベルといえます。ユーザ企業だけでなく、SIerの方々にも参加いただけることを願っています。