戦国時代に突入したローコード開発ツール

こういう記事を教えていただきました。

media-innovation.jp

私が知らないツールがたくさん… まさに世は戦国時代。ローコード開発コミュニティ幹事という立場でありながら、知らないツールばかりというのもお恥ずかしいです。それにしてもよく調べたものだと、この記事を作成されたライターの方に感謝します。

2013年に超高速開発コミュニティ(現・ローコード開発コミュニティ)を立ち上げたときは、この手のツールは信用できないというネガティブな反応も多くあり、悩んでいました。あれから7年、当時の反応は隔世の感があります。ようやく今、普及期に入ってきたと実感します。

私の立ち位置は「エンタープライズ」ですが、このカオスマップで数えてみると、27社もあります。おそらく、これからもプレイヤーは増えることでしょう。マイクロソフトさんやGoogleさんといった大手も本格参入の兆しがあり、これらのツールをかつぐ SI ビジネスも本格化します。その状況下で、私たちはこつこつと実績を積み重ねてきました。ちょうど先月(2020年2月)に、Wagby 採用社数が400社を超えたところです。

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採用社数の伸びは地道といったところですが、この数年は「より基幹系」な分野で、しっかりしたアプリケーション構築に使われる傾向が顕著になっています。ちょっとしたアプリ、ではなく、本格的な業務系に耐えられるように、ということで Wagby をバージョンアップさせてきたので、私たちにとっては望ましい傾向です。

これまでは先進的な一部ユーザ企業が、内製開発のツールとして注目してきました。これらアーリーアダプタ企業による成功事例が一定数を超え、デメリットよりもメリットが当然視されるようになった現在、いよいよ国内の SIer が本格的に利用しはじめるフェーズに入ったと感じています。しかし一括りにエンタープライズといっても、その内情は多種多様です。その理由は、市場の変化と拡大が同時に起こっているためです。

2000年から2010年代に登場したローコード開発ツール(当社のWagbyも含む)は、当時のビジネスの主流であった「RDBにデータを格納し、データの整合性を重視するオンライントランザクション系やバッチ系システム開発をいかに正しくつくるか」を念頭においてきました。
しかしその後、クラウド時代に入ってからは「RDBありきではなく、かつネット上に存在するWebAPIの組み合わせでアプリケーションを作る」という動きがでています。前者は従来の SoR 系アプリケーションの流れに沿うものですが、後者は SoE 系アプリケーションとの連携を重視したとみることもできます。

そして2020年代に入り、二つの流派はまとまってくる、と予想しています。SoR から出発したツールが積極的に SoE の技術を取り入れることと、SoEから出発したツールが SoR の堅牢性を強化するという形でそれぞれが進化し、いずれは境界がなくなるというものです。その達成はおそらく2025年前後ではないでしょうか。この流れに追いつけないツールが淘汰されることでしょう。

これらのツールの普及に伴い、2000 年当時の SE の開発生産性を 1 としたとき、2025年には 10 倍を超えているはずです。ハードウェアの性能進化に比べると桁は違うものの、ソフトウェアもようやくこの程度の生産性向上は達することができた、という時代をつくりたいと思います。