"ローコード開発" についての近況

4月はほぼ在宅勤務だったこともあり、今年のゴールデンウィークも平日の延長のような不思議な感覚で過ごしています。さてこのような中、ローコード開発についていろいろな動きがありました。私が知っている範囲で紹介します。

週間BCN (2020.4.27) "ローコード開発がSIerを救う? 不況に強いツールとして有望視”

ソフト開発の工数を大幅に削減するローコード開発の手法が改めて注目を集めている。DX(デジタルトランスフォーメーション)関連のアジャイル的な開発と相性がよいことに加え、低コスト・短納期を武器に“不況に強い”ツールとしても有望だ。
(中略)
今回は基幹系システムの刷新にも応用可能な汎用性の高いツールに焦点を当ててレポートする。

ということで、紹介されているツールの一つに Wagby もふくめていただきました!ありがとうございます。Wagby の活用事例として、Wagby でパッケージソフトを開発したアライズイノベーション清水社長のコメントが掲載されていました。競合他社ツールの動向も、参考になりました。

PDF版をここから入手できます。
www.weeklybcn.com

IT Leaders "利点多いが副作用も、ローコードツールの活用に欠かせない自社戦略 - 最新事情を米ガートナー VP兼アナリストのジェーソン・ウォン氏に聞く”

it.impress.co.jp

実はローコードツールやLCAPはこれ(注:ガートナーのテクノロジーハイプサイクル)に載っていません。ローコードは必ずしも新しくないからです。抽象化開発や4GL(第4世代言語)、RAD(高速アプリケーション開発)など呼び方はさまざまですが、何10年も前からありました。

このインタビュー記事を読んで、なぜ同社のハイプサイクルにローコードがのっていないのか、しかしのっていないことは必ずしも重要ではないことを意味していない、ことがよくわかりました。世界的に注目されている分野であることは間違いありません。

@IT 特集:“コーディングのプロに嫌われない”ローコード開発

www.atmarkit.co.jp

コーディング量を減らし、GUIでビジネスプロセスを描く/既存のパーツを組み合わせるだけでアプリケーションを開発できる利便性と、場合に応じてコーディングのプロフェッショナルがカスタマイズする柔軟性も併せ持つとして、多くの企業で採用が進んでいる。

本記事は連載とのことで、これから特定の製品レビューがあるのかはわかりませんが、初回の記事はノーコードとローコードの違いなど、丁寧に説明されていました。タイトルにもあるように、いわゆるプロな方々が「こんなツールは使えない/信用できない」と切り捨てるのではなく、「状況に応じて使うことを検討する」ように変わってきているという動向がわかります。

日経XTECH 連載記事 "本音で議論、企業情報システムの「勘所」"

xtech.nikkei.com

こちらも連載記事です。ローコード開発コミュニティ リファレンスモデル分科会の「花束問題」なども紹介されています。IT勉強宴会は私も不定期で参加、聴講しています。コミュニティと同じく参加者の年齢は高めですが、実務経験を語る場なので、若手の技術者にも参考になると思います。

ZDNet 特集 "アジャイル開発を加速させるローコード技術の衝撃”

japan.zdnet.com

特に第一回から第三回までの説明記事が秀逸です。なぜローコード開発なのか、という意味がよくわかります。第六回の導入事例には Wagby も紹介されました。ありがとうございます!

新刊 システム開発・刷新のための データモデル大全

www.amazon.co.jp

ローコード開発コミュニティ リファレンスモデル分科会でもご活躍されている渡辺 幸三さんの新著です。私も速攻で入手しました。先日、IT勉強宴会主催の出版記念ズム会があり、みなさん宅飲みスタイルで参加しました。ユーザ企業の情報システム部門で内製化といった場合、データモデルの設計が最初の壁になります。本書は具体例を交えながら、どのようなテーブル設計がよいかの指針になります。Wagby で実装したサンプルを出すと良いなぁと思いますが、こちらはおいおい…。

ローコード開発コミュニティ第7回総会・記念講演会(オンライン開催)

ローコード開発コミュニティ

早いもので私がコミュニティ設立に関わってから、7回目の総会が終わりました。今回は初のオンライン開催でしたが、最大60名を超える方々に参加いただきました。記念講演会にご登壇いただいたネットコマース株式会社代表取締役の斎藤昌義氏の内容は今後の SI を考える上でさまざまなヒントがありました。嬉しいことに、当日の資料は会員の方向けにダウンロードサービスがあります。貴重な資料を快くご提供いただいた斎藤様に、あらためて感謝です!

これから会員になっていただいて、資料や動画を閲覧することができます。(ユーザ会員としての参加は無料です。)


ということで私が知っている範囲での動向を列挙してみました。このようにローコード開発についてはムードも変わった、ニーズもある、多くのツールも揃っており、導入事例も増えてきたという中で、これからのさらなる普及には何が足かせで、どうすればいいのか、という「次の一手」が重要になっています。私見では「SIerが本気で取り組むかどうか」がポイントになると考えており、従来の工数積算ビジネスに変わるアプローチを見つけることが必要な局面にあると考えています。引き続き関係者の皆さんと、いろいろなアイデアを試していきたいところです。そろそろ、成功の方程式のようなビジネスモデルが登場するのではないでしょうか。