早いもので、前回(4月)に東京・大阪・沖縄で1サイクル目が終了し、今回が2サイクル目になります。参加者はこれまでで最も多く、総勢25名となりました。
今回のご発表は、ビクターアドバンストメディア様による「Sales Support System」の事例です。これまでは全国の拠点で活躍する営業担当者の日報管理をExcelで行っていたが、これをWeb化することを計画し、Wagbyで実現した - これだけ聞くと、よくあるシステム開発の事例と判断されがちですが、実際にお話を伺うと、なるほどと思う知見が多く披露され、大いに感心しました。
- Excelでの運用には限界があり、Web化する必要があるという結論を下したのは、社内のシステム部門ではなく、営業現場自らの判断です。その理由を伺ったとき、なるほどと得心しました。
- Web化の実現にあたり、実際に "得をする" と判断した根拠が数値化されていました。その数値化方法もまた、説得力がありました。
- Excel日報は「行動管理」型であるが、Web化によって「コミュニケーションツール」へと進化させることができる。しかし、現場は日報をさらに活用させたいという思いがありました。Web化の先の第三、そして最終形となる第四の目標とは何か。これは共感できるビジョンでした。
- 開発期間は二ヶ月ですが、話を伺うと最初の一ヶ月はデータ項目洗い出しであり、次の一ヶ月で一気に仕上げています。しかも、毎週リリースし、現場で実際に使い勝手を確認。そのフィードバックを組み込むという「超高速開発」を実践していました。
- ExcelからWebに変わったタイミングで、現地からの入力も携帯電話・スマートフォンをサポートしています。(Wagbyはいずれも対応しています。)使い勝手にクレームはない、とのこと。ただしスマートフォンの入力操作そのものは馴れるまで時間がかかったというお話でした。
- 今の iPhone (iOS5)では、Webフォームから写真画像を添付して送信することができません。それをどうやって回避したのか。なるほどと思うテクニックでした。
発表では実際にデモも行われました。Wagbyの権限管理を活用しており、ログオンアカウント毎に異なるメニュー、異なるデータ閲覧・更新が実現できます。データ入力も随所に工夫がみられており、法人名入力一つとっても現場が嬉しい入力支援方式となっていました。このシステムがすべて定義ファイルのみで実現できており、カスタマイズ(プログラムコード追加)なし、と知ったとき、私を含めて参加者全員が唸りました。
現場が必要なシステムを求めるほど、市販パッケージでの運用は難しい
「営業日報」という、どこでも必要なシステムであっても、管理するデータ項目や権限設定、データの活用方法に違いがあります。今回見せていただいたシステムを汎用化するのは、現実的ではありません。そこには現場ならではの業務要件が深く組み込まれているためです。そして、業務システムとは、そういう現場の知恵が組み込まれてはじめて使われるものであるということを、改めて感じました。
もう一つ、参加者が驚いたことがあります。それは「(社内の)システム部に依頼せず、現場主導で進めた」ことです。これについては賛否両論あれど、「なぜ、そう決めたのか」という背景を知ることは重要です。これもまた多くの組織が抱えているジレンマであり、そこにビジネスの芽があるということもまた、事実です。この事実をどう解釈するかは、システム開発に携わる IT 業界全体の課題と受け止めています。
ご発表の締めには「運用後、一度も停止したことはない。また、携帯電話・スマートフォンからシステムを利用するが、パフォーマンスの問題などは生じていない」という報告もありました。当たり前のことですが、このような期待に応えられているということも良いアピールにつながります。
最後になりますが、ご発表いただいたビクターアドバンストメディア株式会社様、ならびに会場をご提供いただいたソフトウェア・パートナー様、ありがとうございました。Wagbyがここまで活用されている、というお話を伺うのは、開発サイドとしても大いに勇気をいただけます。次は24日(金)に大阪で開催されます。こちらも楽しみにしています。