IT 企業にとって、沖縄であることの優位性は何か

先日、県の調査事業の一環として県内 IT 企業のヒアリングが行われました。当社も含まれていたので、インタビュアーの方とお話しました。

求められる IT 人材層とはどういうものだと考えていますか?

大きく二つあります。一つはスーパープログラマー層です。同じ仕様書に対して、より短いコードで、より高速なプログラムを書ける人たち。アルゴリズムとアーキテクチャに精通しています。

もう一つはプロデューサー層です。5 年後、10 年後の社会を想像し、こういう製品を出すのがよいと企画します。

この二つの人材が遭遇することでイノベーションが生まれます。片方だけではダメです。

県内企業はどういう方向にいった方がいいと考えていますか?

国内オフショア指向では先細りが見えています。東京が不況でもアジアが好況なら、これまで培ってきたノウハウをもってアジアへ進出するという気概をもつことが必要です。少なくとも、人材は地元指向でも、マーケットは県外、そして外貨を稼ぐのが使命と考えることが大切です。

大学や専門学校の新卒が、実際には即戦力でないと聞きますが、どう考えますか?

企業が行う新人研修と同じカリキュラムを大学や専門学校で実施しても効果はあまりないと思います。それは受ける側の意識の差という問題があるためです。入社すると給料をもらって勉強するわけですから、モチベーションが違います。ですので大学や専門学校に負担させるのではなく、企業側でまとまって、新卒を半年間、集合教育するような場をつくってはどうでしょうか。

IT に関して沖縄の優位性はどこにあると考えていますか?もしくは、優位性はないのでしょうか?

優位性はあります。ただ、一般に言われているような地理的にアジアに近いとか、人件費が安いとか、若年労働者が多いというのは優位性だとは考えていません。ただ唯一の優位性は、「沖縄が好き」という地元指向が強いことです。沖縄が危ない、となったとき、県外で活躍しているウチナーンチュ(または沖縄が好きな人たち)は、一肌脱いでもよいと思ってくれる人たちが必ずいます。今の時代は人的資源がとても重要なので、そういったネットワークをもつことができる沖縄は有利です。IT についても、優秀な人材を沖縄というキーワードでつなげていくことが大切です。

逆にいえば、沖縄好きをがっかりさせるような施策をとったり、彼らを大切にしないようになれば、沖縄の優位性は崩壊します。その視点から、人件費の安さをうたうような戦略は近視眼的で、長期的にはマイナスだと考えています。