競合製品 GeneXus のユーザー会 G-CONSORTIUM に登壇する

これは私自身のビジネス経験の中でも特異な出来事でした。
私自身、まさか Wagby の競合製品のユーザー会である G-CONSORTIUM で、お話することになるとは思いませんでした。最初に打診されたときは驚きましたが、次のように考えて、参加することを決めました。

  • 集まっていらっしゃる方々は、日本でも数少ない「自動生成」のメリットを感じている人々である。そういう方と意見交換できる機会は滅多にない。
  • Wagby の話をすることで、GeneXus と比較した強み、弱みのアドバイスをいただけるかも知れない。

このユーザー会は昨年の4月に立ち上がったということで、理事長の藤島様は GeneXus に精通されています。大井町で開催された今回は、主に代理店様(そして見込みユーザー様)十数名の参加でした。

私の発表では冒頭、次のようにお話しました。

「ここにお集りの皆様は、利用する開発ツールこそ違えど、案件に対する思いは同じです。いかにしてプログラムコードを書かないか。書いてしまえば、保守が発生します。コードの保守作業のために、業務要件の変化に対応できないのでは、情報システムを支える立場の挟持が許さない。そのためにはコードを躊躇なく捨てられる仕組みが必要です。GeneXus も Wagby も、まさにそのような環境を提供するものです。このような開発ツールの普及が、業務アプリケーション開発のレベルを大きく向上させるものと信じています。」

それから Wagby の開発動機や、普及のためのビジネス戦略などをお話しました。苦労話も交えましたが、おおむね好評で、安堵しました。

その後の意見交換では、なるほどと思うコメントが多くありました。

  • ユーザー企業にとって、開発ツールそのものより、このツールを使うための雛形(業務テンプレート)がある方がありがたい。Wagby で販売管理やSFA/CRMといった雛形(Wagby定義ファイル)を提供するという方針は良いと思われる。
  • 我々は技術屋ではなくサービス業。残業することなく、顧客に良いサービスを提供するには、これまでの発想を変える必要がある。しかし従来の開発手法では限界がある。自動生成は万能とは言わないが、かなり有効な切り口である。
  • オフショア開発に傾倒する SI は対処療法であり、根本的解決にならない。むしろ自動生成技術を使いこなせる技術者の登場が、日本の技術力を優位に導く。

GeneXus を利用されている開発者から、Wagby に "同じ思想" を感じていただけたようです。双方の技術的な違いはあれど、よい競合として切磋琢磨できればと思いました。

それにしても感じ入ったのは、このユーザー会 G-CONSORTIUM の藤島理事長のスタンスです。
競合製品である Wagby も認め、そこから良いところを学びながら、日本全体として自動生成の認知度を高めていくために共同する。そういう "大人の発想" は、私からみれば "格上" です。このようなビジネス感覚 - 目先ではなく、未来の目線で語るという行為は、とても勉強になります。

私はこの恩義を忘れず、何らかの形で恩返しをする番です。今の私には、Wagby をさらに鍛え上げ、GeneXus の一番にライバルと言っていただけるように努力する、ということが一番の恩返しだと思っています。(自動生成という)市場活性化のために、有力な製品が多く存在することはプラスに働きます。ベタな発想であることは承知の上で、この恩を、ますます精進することでまず報いたい。さらに、いつか私が同じような立場であったとき、競合製品を堂々と招き入れることができるような人物になりたい、と思いました。

ビジネスとは単に売り買いのことではない。こういう出会いはまさにビジネスの醍醐味ともいえます。日々、真剣勝負で、お互いを認め合う。そういう環境に身を置き、切磋琢磨することこそが、私と当社スタッフが得られる本当の果実なのだと改めて思います。