プログラミングできる経営者は、珍しい存在ではなくなる

シンガポール首相がプログラミングという話が面白かったです。
http://matome.naver.jp/odai/2143123542661521501

しかし近い将来、これがニュースになることはない時代がくる、とも予想しています。
特に会社の経営者は、プログラミングができることが当たり前という世代が台頭することになるでしょう。

これは経営者が日々、プログラムを書くことが仕事になるということではありません。
プログラミングの素養があり、かつ、簡単なレベルであれば自分で試すことができる、という経営者を想定しています。

その理由は「経営とITの融合」が加速し、「自社ビジネスが世界のITの
一部になる(高いレベルで統合される)」ようになるためです。私の持論をもう少し説明します。

経営者には鋭い感覚が求められている

経営者は「何がビジネスの種になるか」を独自の嗅覚で探し出すセンスがあります。肌で感じて、納得しなければ事業化しません。そして多くのビジネスは、基本的にゼロから生み出すのではなく、すでにある材料を組み合わせて加工するものです。そのため「今、世の中にはどのような埋もれた材料があって、どういう組み合わせ方をすると自社の商材になるのか。」を常に探しています。

2015年現在、材料、そして組み合わせ方のいずれも、IT が密接に関わるようになっています。ITとは基幹系、ITとは営業支援、ITとはマーケティング...というように、個別の業務をITで支援するという関わり方では、足りないのです。そうではなく、ITという大海があって、その海を制覇することがビジネスの成功につながる、と考える方が自然です。スマートフォンは今後、IoT という新たな枠組みでインターネットに常時、つながっている「何か」という存在になります。それは自社と顧客のまわりを埋め尽くす海、もしくは目に見えないダークマターのようなものです。インターネットはもはや線ではなく、面あるいは立体となり、自社や顧客がその中の一点になっています。インターネットなしでは自社ビジネスも存在せず、という世界です。

プログラミングとは、その海を渡るための船になります。ちょっとしたプログラムを書いて、思ったとおりに航行できるかを自分で試しながら肌で感覚をつかむ、という能力は、このような時代では必須ともいえます。「ITのことはわからないので担当に任せる」という経営者は溺れてしまうわけで、そうもいっていられないだろう、というのが私の考えです。

現経営陣は、新しい能力をもった人材を探してバトンタッチする

ではプログラミングどころか、パソコンも操作できないという経営陣は早々に引退するべきかというと、そういうわけにもいきません。今は過渡期なので、次の時代に活躍できる若い経営層を探し、育成することが重要な責務です。これを今後 5年、長くみても10年でバトンタッチできなければ、その会社の寿命は尽きるという気持ちで臨んでほしいと願っています。

そのためには若手に経験を積ませることが必要です。その方針は二つあります。

  • ITを前提とした新ビジネスへのチャレンジ。新しい商材と新しい販売ルートに、既存の自社ノウハウ・ブランド力を融合させる。
  • 現行の基幹システムは現行業務とともに終息させ、新ビジネスを支える基幹システムをゼロから開発する。

いずれも「超高速開発」で進めることを推奨します。それは失敗を前提として、すぐにでも補正する力によってカバーできることが必要なためです。同時に、この事業は若手リーダー層に一任し、現在の課長・部長級は新ビジネスの補佐役に回ってもらうことで世代交代を図ります。

このような方針を出せるのは、現経営陣しか、いません。そしてユーザ主導による内製化を推進している企業が、このような方向性を見据えているのだろう、とも感じています。外注への自社システム丸投げの弊害は、見えないところで自社成長のチャンスを奪っているのです。

BSIAで最新の状況を学んできます

きたる27日に開催される「ビジネスシステムイニシアティブ2015」では、経営視点からみた実際のユーザ事例が数多く発表される、日本でも稀有のセミナーと期待しています。
http://www.seminar-reg.jp/bsia/2015/index.html

私もジャスミンソフトの代表として、また超高速開発コミュニティ幹事として登壇する機会をいただいていますが、同時に聴講者として参加します。先行する企業・組織は何につまづき、どう乗り越えていこうとしているのかを伺うのは、とても勉強になります。このイベントに、多くの経営陣に参加していただきたいと願っています。