ResorTech EXPO 2021 in Okinawa で "内製のススメ" を語ってきます

今週(2022年11月)18,19日に、沖縄県で ResorTech EXPO 2021 in Okinawa という「観光 x IT」の一大イベントが開催されます。

コロナがようやく落ち着きつつ今、当社も会場でのブースを設けることとなりました!
このブログをお読みいただく方で、沖縄県在住の方となると限定されますが、本イベントに参加予定の方がいらっしゃいましたら是非とも当社ブースへ足をお運びください。来場チケットは、こちらから入手いただけます。

resortech-expo.okinawa

18日の14時より、会場で20分のプレゼンテーション枠をいただけましたので、発表も行います。

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タイトルを「なぜ、DXに成功している企業は内製を目指すのか」にしました。おおまかな発表のアイデアをここに記載します。

IT化、デジタル化とDXの違い

DXのXは「トランスフォーメーション」だと、あれほど言っているにもかかわらず、IT化、デジタル化とDXの違いをうまく理解している人は少ないです。最初にこれらの違いを整理します。

IT化 紙の伝票をデジタル化し、手計算をプログラムに置き換えることで誤りをなくす。給与計算や得意先別請求書作成など。既存業務を効率化すること。
デジタル化 IT化と重複するが、紙以外のさまざまなアナログ情報をすべて数値(またはコード)としてコンピュータ上で処理できるようにすること。
DX 自社のこれまでのルールや業界の慣習を超え、お客様視点で望ましいサービスの形を再定義すること。ビジネスの形そのものが変わる。

IT化とデジタル化の違いについて補足します。例えばカメラがデジタル化されたことによって、これまでできなかった顔の識別といった付加機能が登場しました。ここからわかるように、デジタル化によって業務自体の可能性が拡がることがあります。しかしIT化・デジタル化を進めればDXに至るというわけではありません。DXはサービスの「再定義」であり、効率化を追求した延長ではないのです。ただしDXにおける再定義の前提として、デジタル技術を徹底的に使い倒す必要はあります。この違いを肌で感じているかどうか、が重要です。

この違いを把握したところで、ではDXと内製はどう関わるのでしょうか。

IT化、デジタル化はいずれもSIerへの丸投げが可能と思われてきました。実際にはトラブル続きで問題山積みなのですが、少なくとも発注者(ユーザ企業)は丸投げできるテーマであるとして扱ってきたところがあります。

しかしDXはそうではありません。自社のビジネスモデルの再定義は自社のアイデアに基づくしかありません。例えば弁当屋さんが「こういう新企画の弁当を作ることにしたので、その製造と販売を支えるシステムが必要だ」と考えたとします。ここで問題となるのは、新企画を早く市場投入して反応をみたいにもかかわらず、従来の開発方式では製造・販売システムの開発に半年から1年を費やすことです。このスピード感では間に合わない!といち早く気づいたユーザ企業が内製に舵をきっています。ですので「内製は開発費を抑えるための苦肉の策」ではありません。コスト増でもスピードが求められる時代です。

DXのネタもないし、内製もまったく自信がないという企業、が大半

ところが実際には新企画の弁当案をもっている企業自体がかなり少ない。これが現実です。もちろん内製も無理と思っていることでしょう。しかし、弁当作りの腕には自信があるはずです。多くの企業にとって、ここがスタートラインです。

DXはお客様目線で考えるものです。弁当ひとつとっても「ベンチのある公園のそばで販売してほしい」「ある時間をすぎたら値引きしてくれると買いやすいなぁ」「こういう具材の組み合わせが食べたい」「カロリーを表示してくれると嬉しい」「おやつがついているといいのに」「コーヒーショップとのコラボとかいいんじゃない」などなど、お客様のわがままな要望があったとして、我が社でそれを実現できそうでしょうか。おそらく現場から「仕事の流れが大きく変わるから無理」「そもそも今の体制でそんな新業務を受け入れることはできない」という異論が噴出することでしょう。

私はこの「抵抗」に着目しています。仕事の流れを変えることを阻害する要因は何か。それは「ゆとり」がないことです。現場に多くの「ムリ、ムラ、ムダ」があって、みな、疲弊しています。つまりDXをはじめる最初の一歩として、現場に余裕をつくることからはじめませんか。もちろん、これもDXの取組の一つなので、デジタル技術を活用して現場を生き返らせること、になります。

現場に余裕がないと、新しいアイデアを実現させることは難しい。まずこの点で現場と管理者層で合意しましょう。その上で、DXに取り組むために、本気で「余裕」をつくりましょう。

ところが、特に新しいアイデアを求められているわけでもなく、現状の仕事のまま、今の給料をもらえるならそれでいいと考える方もいらっしゃることでしょう。そういう職場には DX は無関係でしょうか。

私からの次の提案は、では給与は上げるとはいわず、現状と同額でいいから、1日6時間勤務、もしくは週休3日制を実現しませんか?です。1日6時間勤務なので給料も下げる、というのは絶対にダメです。そうではなく、業務を見直すことで現場に余裕をもたせよう、です。これならば業務の見直しを行なってもお釣りがくると思いませんか。


今の日本の閉塞感は、ひとえに現場の余裕のなさからきています。余裕がないからDXもできないという悪循環です。これを断ち切る英断は経営者しかできませんが、わざわざコンサルタントに高いお金を出して、実現不可能な新ビジネスモデルを華々しく社内で発表して、現場をしらけさせることはありません。

同業他社が AI を導入したとか、そういうニュースに一喜一憂することもありません。それで同業他社の株価が一時的に上がったから何だというのです。それよりも余裕を持った現場が将来、打ち出す新サービスに想いを馳せた方がよいではありませんか。

ノーコード・ローコード開発ツールが「DX x 内製」を支援する

あくまでも現場主体で、自分たちの余裕をつくりだすために、自分たちのための業務システムを作ろう、が私からのメッセージなのですが、例によって反論が噴出します。

  • それは Excel を使ってすでに実現している。
  • 業務システムをつくっても保守できず、結局、使われなくなる。
  • 野良システムが増えると、かえって保守コストも増える。
  • そもそも業務システムをつくる、というスキルをもっていない。

すべて Wagby で解決しますが、最初の「Excelですでに実現している」と思い込んでいる方へ伝えたいことがあります。あなたがその Excel のデータを変更したとき、それが誰に影響するかを把握していますか? 自分だけで閉じている業務? 本当にそうですか? 多くの場合、その Excel をメールで誰かに送り、その誰かがまた別のファイルを修正して、さらに誰かに送っていませんか。組織のホワイトカラーの生産性の低さは、このExcelファイルの連鎖が大いに影響している、と考えています。

私がいう「業務システム」とは、あるデータの変更が自動的に関係する人のデータに反映されることです。それなら RPA で実現しているという方もいるかもしれませんが、RPAは仕事の仕組みはそのままに操作を自動化しただけです。そうではなく私の仕事は他の誰かと繋がっているという仕事の関係性を可視化する、というのが業務システムのもたらすメリットです。可視化によって自分は組織の歯車ではなく、自分の仕事が他の誰か役に立っていることを明らかになります。この可視化ができれば、新しいアイデアが沸いたとき、どういう業務手順で実現できるか、を議論しやすくなります。別の言い方をすれば、この可視化ができていないため、新しいアイデアの実現の目処が立たず、誰もが実現を不安視するのです。RPAを導入すればするほど、可視化から離れてブラックボックス化していくことをお忘れなく。

内製は実現できるし、成長戦略には欠かせない

ビジネスパーソンが大好きな「成長戦略」は、閃いたアイデアを短期間で実現して市場で試し、フォードバックをえて改善するというサイクルをどれだけ実現できるかにかかっています。そのためには、このサイクルを支える業務システムを同じく短期間で開発する体制が必要ですが、従来型の開発手法では間に合いません。今年リリースしたクラウド版のノーコード Wagby は、この分野にフォーカスしています。