今年の Wagby Developer Day 2025 もおかげさまで無事に終了しました。ご参加いただいた皆様および協賛企業、関係者の方々、ありがとうございました。発表資料はこちらからダウンロードできます。
Wagby Developer Days 2025
私は基調講演で AI とローコードの関係についてお話しました。AI をピンポイントで積極的に取り込みつつも、少しずつその適用領域を拡げていこうという、ごく当たり前な?発想で Wagby を育てていきますという内容です。具体的な成果物については年明けから徐々に公開していきます。
このブログでは振り返りとして、同日に(株)ミロク情報サービス様がお話したクラウドサービスについて所感を述べます。同社が今年の7月に正式サービスインした「かんたんクラウド販売」は、ジャスミンソフトとしても積極的に関わったプロジェクトで、ベースに Wagby を使っています。
ローコード開発ツールを使って自社サービスやプロダクトを開発した事例は他社でもお持ちと思いますが、公開されている事例は少ないようです。今回の発表がいろいろと参考になれば幸いです。
ジャスミンソフトからの営業アプローチと、サービスインまでのギャップ
このプロジェクトはもともとベースとなる現行サービスがあり、これをWagbyの仕様に寄せて「Wagby化」するというリビルド案件としてスタートしました。リビルドにあたっては現行仕様を踏襲しつつ、同じことをWagby流に実現することで開発のスピードをあげましょう、という提案を行いました。
その後、実際のプロジェクトを開始しました。当初は良いペースで進んでいたのですが、いざテストという段階になって、受け入れ担当チームから、現行サービスとの違いが指摘されるようになりました。おおまかな方針としてWagbyに寄せるは了承されているものの、それでもここは修正できないかという要望が積み重なり、当初リリース時期を遅らせてでも現行サービスとの差異を小さくしようということになりました。結果的にプロジェクト成功要因の指標の一つである「納期」が遅れたという点では、諸手をあげて成功とは言い難い結果になりました。
ただ受け入れ担当チームとやりとりする密度が高まったおかげで、サービスイン後は大きなトラブルもなく、順調に営業活動が進められていることは安堵しています。双方の努力によって開発とテストの両輪をうまく回していけたのはよかったです。
あらためて Wagby の効果を考える
納期という観点では満足に至りませんでしたが、現行サービスに寄せること、つまりWagby標準の動作をどこまで「カスタマイズ」できるか、という観点では、合格ではないかというのが私の見方です。ローコード開発ツールといっても製品によってカスタマイズできるレベルには大きな差があります。Wagbyは相当のカスタマイズ性を有していることが実証できました。マルチテナント型なのでどのテーブルも加入者番号を含む複合主キーです。データベースから業務ロジック、UIに至るまで複合主キーを一貫して管理し、かつカスタマイズできるというのは強みだと考えています。
もちろんこれは諸刃の剣で、カスタマイズするほど開発工数は増えます。それでもカスタマイズできません、よりは、できる方が望ましいことはいうまでもありません。社内アプリと違い、今回のような社外向けパッケージ/サービスについては、こだわりの機能をいかに実現するかが重視されます。そして今回はカスタマイズした部分も、将来的にWagbyの標準機能にすることで、より横展開しやすくしたいと考えています。これもWagbyの強みになるでしょう。
80点から100点のギャップを埋めることの困難さ
多くのツールで、いわゆる「80点」レベルまで簡単に作れることをアピールします。Wagbyもそうでした。しかし、ここから100点を目指せるツールにするまでが茨の道です。Wagby はまだ100点とはいえませんが、少なくともある種の壁を超え、一般向けサービスとしてリリースできるカスタマイズ性を備えたレベルは超えたといえます。ここに至るまでに20年を要しました。
今、AIによる自動開発が注目されていますが、私の経験上、同じことが起こるでしょう。プロトタイプつまり80点レベルまでは今でも到達しているように感じますが、そこから100点を目指す道は遠いです。エンジニアは当面、その差を埋めるための仕事をこなしていくことになるでしょう。つまり、難易度の高い業務しか残らないという状況になります。エンジニアは不要になるどころか、ますます争奪戦になると思います。
