読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

超高速開発時代の新しい見積手法を提案します

先日(2016年8月3日)のWagby分科会で発表した「Wagbyを用いた見積手法」を正式に公開しました。
例えば、こういう見積書を生成します。

f:id:ynie:20160815101749j:plain

これまでの見積手法の限界

一般的に知られている「開発費 = 工数 x 人月単価」には次の問題があります。

  • 超高速開発では工数が減りますが、そのメリット(早く納品できる)が上の式には組み込まれていません。これが SIer にとって、超高速開発に踏み込めない理由の一つになっています。
  • そもそも工数の算出が難しいことも問題です。多くのSIerが利用しているファンクションポイント法では、正確なファンクションを知るためには対象業務を精査する必要がありますが、見積無料の範囲でどこまで深堀りできるかが悩ましいところです。

この問題をクリアし、かつ、営業時点で(技術者に確認しなくても)簡単に概算見積を出すことができないでしょうか。その回答の一つが、これから説明する見積手法です。

計算式

提案する式は次のとおりです。

開発費 = 項目数 x アプリケーション複雑度係数 x 組織係数 x 項目単価


式内に登場する用語の説明は次のとおりです。

用語 説明
項目数 開発(定義)したモデルに含まれる各項目の総和。
アプリケーション複雑度係数 アプリケーションのテーマによって設定する。
組織係数 利用部門(組織)が1つの場合を1.0とする。
項目単価 1項目を設定する場合の標準単価。


一言で説明すると、「営業担当が、既存システムの画面や帳票に登場する(データ)項目数を数え上げることで、概算見積が行える。」というものです。詳細は次のスライドにまとめました。

www.slideshare.net

人月単価を下げるのではなく、工数を削減する方向へ

私が活動しているエンタープライズアプリケーション開発分野では、2000年代に登場したオフショア開発から、工数はそのままに単価を下げる、という方向に進みました。しかし単価を下げることには限界があります。

超高速開発時代では、工数を減らすというアプローチに変わります。これとともに、工数減に伴う、新しいSIビジネスモデルの登場も求められています。少人数で大規模アプリケーション開発ができるとなったとき、これまでの「工数 x 人月単価」ではビジネスとして成立しません。今回の私の提案はまだ改良の余地があるでしょうが、それでも工夫次第でビジネスモデルは変えることができる、という流れにつながることを願っています。

他社見積との比較ができないので、従来型の積算式を提示してほしい、という要望に対する回答

そこで私が提案するのは「仮想工数」という考え方です。

先に金額が出ているので、各社がお持ちの「人月単価」で割り算することで工数が求まります。

仮想工数 = 総費用 / 人月単価

ポイントは、仮想工数 = 実工数ではない、ということです。当然、仮想工数と実工数の比が N 倍となることを目指します。工夫次第で N が向上すれば、実工数の削減に本気で取り組むことができます。

このアイデアは Wagby に限定したものか

そうではありませんが、特に Wagby に向いていると考えています。理由は、Wagby は設定だけで(ノンプログラミングで)記述できることが格段に多いためです。コーディング部分を最小にできるため、項目数ベースの見積というシンプルなアイデアを可能としています。

式のカスタマイズ、ご利用は無料です

パラメータだけでなく(提案する)計算式そのものを自社流にアレンジすることも含め、ご自由に行ってください。弊社への確認も不要です。もちろん利用料などもありません。「工数 x 人月単価」しかない、と半ば諦めていた業界の慣習に一石を投じることができれば本望です。*1 *2

試してみる

R7.9.1 以降の Wagby でご利用いただけます。詳細はこちらをお読みください。

*1:とはいっても Wagby との相性を前提に考慮した式ですので、できれば Wagby 販売代理店様のビジネスとして使っていただけることを希望しています。

*2:Wagby以外の超高速開発ツールでも、それぞれの特徴を活かした見積手法が登場すると、さらに面白くなると思います。