あきらめる力

きたる10月14日(土)に東京・銀座にて次のイベントが開催されます。

沖縄へ UIJ ターンしたいITエンジニアのための
沖縄 IT 移住フェス!
lp.itcokinawa.jp


沖縄県内企業だけが参加できるということもあって、当社も出展させていただくことができました。当日、何らかの出会いがあればと願っています。

さて世の中ではエンジニア不足を背景に転職は一般的になり、20代から30代という伸び盛りにとっては、自分の経験を高く売る、という気持ちをもって会社を選んでいくという姿勢も強いでしょう。私もその年代で、起業という選択をしていなければ、そのような生き方を指向していたのではないかと思います。

ただ私自身、齢が50代となり、あらためて俯瞰すると、もし私が30代後半くらいから転職活動をしていたならば、むしろ「あきらめる」ことに主眼をおいて活動していただろうな、と思うところです。そして(今だからわかることは)「あきらめる」にも、ある種の「力」が必要なのだ、ということです。

若い時はもちろん、こういう人生設計をしたい、という希望をもちます。それが年齢を重ねるごとに、思っていた計画とは全く違う人生を歩んでいることを思い知ります。しかしそれを悲観する必要はまったくありません。そもそも最初の人生設計なるもの自体が、世の中をよく知らないときに立案した狭い視野に基づいたものだったはずです。実社会で、いろいろな経験やつながりを得る反面、自分の可能性だと思っていたことをひとつずつ手放していくことは珍しくありません。人生は有限だからです。

その手放すという行為を前向きな気持ちで行うことを、ここでは「あきらめる力」と表現してみました。自分にはあれもできなかった、これもうまくいかなかった…ではなく、この可能性を手放したかわりに、この経験ができた、と受け止め、納得していく力です。

あきらめる力は、同時に、私にはこれがある、これだけは手放してはならない、という自分にとってのコアとなるものが固まっていくことを促します。

沖縄へ移住したい、もしくは移住ではないが沖縄の企業で働いてみたい、というのも、ある程度の「あきらめ力」が求められる、というのが今回のブログの主旨です。誤解ないようにあらかじめ書きますが、これは沖縄の企業だから給与をあきらめなさい、という意図ではありません。そもそも転職だけでも一大事な上に、さらに都心から地方への移動、ということはその人(と、ご家族)にとって大きな環境変化を伴います。それでもこのフェスへの参加を検討している方にとっては、そうしたいと思う何かがあり、おそらくそこには現時点でもっていた(と思っていた)何かの可能性をあきらめ、代わりに沖縄というキーワードでつながる新しい何かを手に入れようとしているのだろう、と推察します。

しかし実際には、年齢によっては手に入れることよりも、自分の中に残ったものを確認し、それをさらに磨くための新たな環境を探すという意味合いが強まっていくのではないか。それを自覚することが、転職を成功とみなせるかどうかのポイントだと思う、ということを書きました。

その上で、沖縄というキーワードで絞り込むことで、そのような環境が見つけられるかもしれない、という感覚は是非とも大切にしてほしいと思います。直感は、あなどれません。

まとめます。転職は「私の可能性をひろげる」という触れ込みが多いですが、ある程度の年齢を超えると、むしろ「あきらめる力」を自覚的に使ってもいいのではないか、ということを提案しました。あきらめる力は同時に、私の中に残っているものを手放さないという生き方につながります。私自身の人生は(今思えば)いろいろな局面で、あきらめる力を発揮してきたように思います。それは結果的に、自分のコアを手放さない生き方につながった、と考えています。