Wagby R6 プレビュー会と、見積作成機能

本日、販売代理店様向けに Wagby R6 のプレビュー会を実施しました。実はその場ではじめて公開した隠し機能があります。それは「見積作成機能」です。

私はシステム開発における見積は二段階に分けるのがよいと考えています。いわゆる上流工程と下流工程です。

上流工程は要求分析から外部設計書の作成まで。成果物は「ファイル仕様」「画面遷移」「画面レイアウト」など、ユーザ視点でのドキュメントになります。この部分は「いくらかかるかわからない」ので、SE単価 x 月数、いわゆる人月が妥当かと思います。

外部設計書ができれば、下流工程に入ります。これは製造とテストまで。内部設計書の作成も含まれるかも知れません。この部分の見積で妥当なのがファンクションポイント法だろうと思います。外部設計書を元に、あるシステムが 1000 FP 値だと積算されればしめたもの。1FP の定義から、1FP にかかる金額は決まるでしょうから、あとは掛け算で求まります。FP 値をどうやって求めるかというポリシーがしっかりしていればよいわけです。

そこで考えました。Wagby 定義ファイルは外部設計書に相当します。そこで Wagby 定義ファイルを読み込んで、下流工程の製造コストの見積を作成できれば便利ではないか?と。

実際にそういう機能を Wagby R6 に組み込んで、過去につくったシステム(Wagby定義ファイル)から積算させてみました。Wagby 定義ファイルの作成に 30 分くらいかかるシステム(画面数にして 10 程度)で、おおよその構築費は 50 万から 70 万円程度。画面数 300 だと、3000 万程度という数値がでてきました。これは説得力があります。数字にすると強いです。

この数字の意味するところは、「Wagby定義ファイルの価値」です。本来ですと○○円のコストをかけて製造するというコストを「見える化」したわけです。そして Wagby は、この数字をゼロ化するところがミソです。

IT 業界は見積手法そのものに各社の一貫性がなく、お客様の唯一のよりどころは「人月単価」でした。それがトラブルをうむ遠因だと感じていましたが、Wagby によって製造コストを見えるようにすることで、人月に変わる指標を出したいというのが狙いです。

という演説を販売代理店様を前にして、意気揚々と行ったのですが... 反応は微妙でした。SIer にとって見積指標をつくってしまうというのは諸刃の剣になる、という漠然とした不安です。

それでも私はこの機能を R6 につけて出荷することにします。Wagby はもともと SIer にとって敵にも味方にもなるツールです。その「とんがった部分」をアピールするのが Wagby の役目だと思っています。

Wagby R6 はあさって、SODEC 2008 会場でお披露目します。そこで来場者に、この見積作成機能をみてもらい、感想を伺ってみます。
なお一般ダウンロード提供開始は 5/17 になりました。