リーダーには素質、意思、鍛錬が必要である

本日はビーコンITさんが主催するフォーラムへ参加してきました。
http://www.beacon-it.co.jp/semi_eve/events/forum19th.shtml

冨山社長(産業再生機構で大活躍された方)の基調講演に勇気づけられましたので、メモします。演題からは想像できない内容で、良い意味で裏切られました。

今後の世界

  • 多極化するが、日本がトップになれるわけではない。たまたま欧米に比較して今、相対的に日本は優位だが、それはすぐにひっくり返る。
  • しかし金融工学はなくならない。
  • 米国のビッグ3が登場する背景には金融恐慌があった。その前は多くの自動車企業があった。

計画はいい加減でいい。

  • 計画の目的は?仮説を立てること。材料にはなるが、あてにしてはいけない。半年で前提条件は変わる世界になっている。
  • 仮説は大切。仮説があれば「なぜ仮説が成立しなかったか」という検証ができる。
  • しかし計画そのものが緻密である必要はない。
  • 今は PDCA の入り口である Plan にかける労力が大きすぎる。

パッケージとしてのERPの問題

  • ERPの導入は、どこまでいっても二番手になる。
  • ベストプラクティスは常にユニークである。
  • 多極化とは、グローバリゼーリョンがさらに進むということ。ユニークでないものは、コモディティになる。つまり儲からないということ。

カネボウの事例

  • 財務的に余裕があるときは、不採算事業の撤退ができない。カネボウは繊維からの撤退が遅れた。全体では黒字なので「もう一回チャレンジ」を続けた。
  • 難しいのは「引き算」。選択と集中というと聞こえはいいが同義語反復語。実際にはまず「捨てる」ことが最初である。
  • しかし捨てられない。捨てるだけでもコストがかかるし、リスクが伴う。そして組織内では理不尽なことが発生する。そこで仕事をしてきた人にとっては大いに理不尽。真面目な人にしわよせがいってしまう。

ダイエーの事例

  • 52店舗を閉めた。1店舗を閉めるだけでもどんなに大変なことか。多くの雇用が失われる。すべてを承知した上で、それでもやらなければならないことの重み。

どういう方法がいいのか。

  • 日本:先送りが多い。会社が倒れる。
  • 米国:ブラックボックスでリストラ。人身離反する。
  • どちらも間違い。
  • ではどうするか? 丁寧に丁寧に、神経を切らないように丁寧に、切るべきところを慎重に切るしかない。合理と情意の両方をすりあわせるしかない。方程式は存在しない。すべて個別対応。

リーダーとは「エリート商売」である。

  • 素質、意思、鍛錬
  • 情と理の衝突に耐え、現実と理念の相克を超えるタフネスと「哲学」を持ち合わせた「強い」人材の再生

マネジメントにゴールはない

  • 当たり前のことを当たり前にやり続ける、追求し続けることの難しさ
  • 不断の PDCA の繰り返し
  • 自己革新がしんどい -> 飲み屋の話題の半分以上が昔の自慢話になったら -> それはもう辞め時

経営とは

  • カネの論理(財務)とヒトの論理(事業)の正反合一のこと。 
  • 経営がわからないコンサルタントや学者は、すぐにわかりやすい手法をやろうとする。コトはそう単純ではない。
  • 頭のいい人ではなく、哲学をもっている人が必要。日本ではそういう人材層が薄くなっている!
  • 日本は人的資源しかない。企業を支えているのも人材。人づくりは公共財をつくるつもりで。転職してもいい。
  • 人への投資は? お金よりも「情熱」。