受託開発ビジネスがワインから学ぶもの

私達の IT 業界における受託開発ビジネスはさまざまな問題を抱えていますが、その中でも「価格体系」のわかりにくさは最大の難関です。
これを解決する別の切り口として、ワインのビジネスは参考にならないでしょうか。

ワインのビジネスで注目しているのは、個々のワインの「おいしさ」を説明する手段として、そのワインに込められた「物語」を上手につくっていることです。どういう生産者が、どういう畑で、どういう信念でつくっているか。過去にどういうトラブルがあって、それをどういう経緯でのりきっていったか。こういう物語を知ることで、飲み手はワインの価値を再認識し、そのワインの「価格」に納得します。

これをどう応用するかというと、受託開発を請け負う開発者の「顔」を示すということです。契約、仕様、テスト、そういった各工程に押印したかどうかというルールベースのプロセス管理とは別に、この人がプロジェクトに参加している、この人なら大丈夫といった価値観をつくりだすということです。そして、その価値観(信頼)を価格決定の要素に結びつけます。

これは工学という視点からはマイナスかも知れません。しかしオフショア開発が打ち出す「安い人月単価」に対抗する付加価値を設定するというアイデアを考えることは、私達にとって必要ではないかと思っています。