企業向けシステム開発にこだわる

私にとってのソフトウェア開発は、企業向けシステム開発です。「儲かるから」という理由で他の分野に手を出すことは、これまでも行ってきませんでしたし、今後も予定はありません。この分野は古いテーマですが、解決すべきテーマがまだまだ残っており、残りの生涯をかける価値のあるフィールドです。

なぜ、プログラミング能力の高さがお客様へのサービス向上と必ずしも直結しないのか。
なぜ、矛盾に満ちた人月制度を変えるだけの新機軸を打ち出せないのか。
なぜ、先端的な知識を求められる分野でありながらも、労働集約産業から抜け出せないのか。
なぜ、中小企業の IT 化を進めることができないのか。

これらの問題はすでに語り尽くされており、失意と諦めの中で深く思考することをやめ、日々のプロジェクト遂行に追われるのが実情だという意見があるのは知っています。しかし私は、この問題に対する根本的な解をみつけることがシステム開発屋の悲願であり、それがビジネスの成功にも直結すると確信しています。

私達に必要なのは、お客様へアピールするための「切り口」です。お客様からみて、システム開発ベンダーの差別化は今のところ「会社規模」と「人月単価」くらいしかありません。そこに対して違う切り口を提供できるかどうか? この工夫にかかっています。

今週号の日経ビジネスのユニクロ特集を読んで、その思いを強くしました。衣料業界はグローバリズムの洗礼を受け、他社との差別化が思うように図れず、価格競争に突入しました。そのような中でもユニクロは安さと品質、そして機能性衣料という新市場開拓をすべてカバーして成功しています。

安さは当たり前、品質が高いことも当たり前、その上に一工夫加えるのがビジネスです。がんばっているのだから儲かるはず、ではありません。良い切り口を見つけることができたかどうか、にかかっています。

今期は残りあと 4 ヶ月。この意味を真剣に噛み締めていきましょう。