「システムトラブルは減らない,“現場力”を高めて警戒せよ」に同感

ITPro 新春スペシャル「編集長の眼」が公開されました。ここでは日経SYSTEMS編集長の杉山氏の記事である「システムトラブルは減らない,“現場力”を高めて警戒せよ」に注目します。以下、引用です。

いきなり断言するが,2008年も情報システムのトラブルは減らないだろう。
(中略)
そこで,これから注目したいアプローチが二つある。システム開発における「上流からの品質の作り込み」と「自動化/工業化」である。

この二つがシステム開発の重要な要素になるということについては、まったく同感です。

上流工程からきちんとものづくりを進めていくとなると,必然的に「自動化」や「工業化」につながる。プロセスを標準化して属人的な部分を排除し,自動化できるところは自動化する。そして「本当に人でなければできないところに人が専念する」(前出の渡辺社長)。システムトラブルの原因の多くはヒューマンエラーである。自動化,工業化を進めれば,単純ミスだけでもどれだけ減らせることだろう。

これまで、この自動化について国内の IT 業界は乗り気ではありませんでした。しかし「かけた工数の分だけ請求できない」「手戻りがすべて赤字になる」「オフショア開発との競争で単価が上がらない」といった過酷な環境の中、ようやく自動化に本腰を入れようというムードを感じています。まだ遅くはありません。

この流れを誤解なく進めるために、もう一つ踏み込まないといけないことがあります。それは「自動化を前提とした開発」を優先させると、「仕様策定に影響を及ぼす」ということです。

理想は、上流でおこした設計図からコードの完全自動生成でしょう。しかし現実には、まだそこまでのツールは存在しません。むしろドメインを限定し、自動生成ツールの機能を活かす形で設計を工夫することが大切です。自動生成ツールの特性を無視した設計はカスタマイズが多くなるため、結局、自動化のメリットを享受できないといった失敗を引き起こします。

自動化を前提としたプロジェクトは、これまでのやり方とは確かに違うかも知れません。しかしそこには、その違いを学んで余あるメリットがあります。