2020年、さぁ、DXをはじめよう

明けましておめでとうございます。昨年は自社製品 Wagby のイメージキャラクターである Wagbee の "ぬい" ぐるみを作成するという趣味に走りましたが、これが実に可愛いなぁと気に入っておりまして、公園で撮影してきました。本年もよろしくお願いします。

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年が明けた最初のブログは、私の中ではバズワードではなく、真剣に取り組むべきと思える "DX" について書きます。

DX への誤解

私自身はDX に対する、次の解釈はいずれも何か誤解されてしまったもの、と感じています。

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Wikipedia をはじめ、さまざまな説明があることを踏まえつつ、私は(製品・サービスを提供する)企業として、次のように DX を捉えています。

顧客にとって、より満足度の高いサービスを、よりリーズナブルな価格で提供しようとする、絶え間ない努力。

この一文だけでは DX とは無関係で、至極当たり前のこと、と突っ込まれそうですので、もう少し丁寧に説明します。

その実現のために

・最新のデジタル技術を積極的に導入する。
・自社の都合や、業界の慣習にしばられず、いつもお客様の目線で最適解を考える。

という姿勢を貫く。

より多くの企業が、このような視点で活動することによって、結果的に

"ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる"

(エリック・ストルターマン教授が最初に提唱した定義。デジタルトランスフォーメーション - Wikipedia)

という社会の実現につながる、と考えています。ここで私は「デジタル技術で人間の幸福度を高めよう」というアイデアは、すでに社会全体の中でコンセンサスがとれている、とみなしています。以下の議論は、これを前提にします。

2025年の崖、という指摘をみつめなおす

経済産業省が警鐘を鳴らした "2025年の崖" とは、このままでは国内の多くの企業が DX を実現できないのではないか、という危惧ですが、別の表現をすれば「社会のニーズに応えられない企業は市場から退場するしかない」という原則に基づいています。そして社会のニーズが IT の有効活用ですから、では最新技術を知らないと...ということになります。

ところが現時点では先行した企業による DX の失敗や困難さに関する事例が明らかになりつつあり、PoC から先に進めないという課題も浮き彫りになってきました。

私の解釈では、その理由はまさに上に挙げた「誤解」にあります。DXとは「何かを実現すれば完了」ではなく「今後の企業活動の中心となる考え方」なので「継続的に実施するもの」です。多くの企業では、その出発点にさえ立てていないようだ、というのが経済産業省の懸念です。

さらに「出発点に立つ」を掘り下げます。DX は長い道のりであり、ゴールというものがありません。さらに、この上を歩けばいいという(マラソンのような)コースも存在しません。個々の企業が自らの役割を再定義し、経営者の信念に基づいて自ら道を切り開くものです。正解もなければ、どこかの真似をするということでもありません。すべての業界慣習をゼロベースで見直し、顧客視点に立って(その企業が)役に立つかどうかを問われる時代に入ったのだとということです。その出発点に立つ、を私は次のように捉えています。

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補足しますと、ポイントは二つです。

  • 狂気性とは、ルーチンワークを超えた「何か」である。その何かをどこに求めるかは、経営者の直感による。これには最新のデジタル技術の活用が不可欠である。
  • 変化を許容する仕組みは、現在の基幹系システムとは異なる。正しいシステム仕様を外部に発注するのではなく、超高速に開発し、かつ捨てても惜しくない開発費でシステムを手に入れる体制を敷くことである。

前者は企業の独自性の発揮というテーマですが、いわゆる GAFA と呼ばれる欧米企業は、これまでの常識をはるかに超える「狂気性」をもっており、それが社会に受け入れられたことを示す実例となりました。もちろん、やりすぎの問題点も噴出しており、それらは丁寧に落とし所を探すべきです。しかし少なくとも「周りに歩調を合わせ、従来の業界慣習を守る」ことから「試行錯誤しながら常に顧客が望むことは何かを優先し、そのためには従来の業界慣習を再定義することもいとわない」企業姿勢は DX につながっている、といえます。

一方で後者はどの企業でも必要となる、汎用性のあるテーマです。狭い意味では、"2025年の崖" とは、少なくとも後者の仕組みをもっておかないと出発点にすら立てない、という指摘です。

そして後者の仕組みのベースは「内製開発」です。それも与えられた仕様を開発する体制という意味での内製ではなく、企業活動そのものを再定義する取り組みの一環としての内製です。私はその実現には二通りあると考えています。

(1) プログラム知識をもった現場、管理職、経営者による、内製開発。
(2) プログラム知識は持たないが、それを支援するツールを使った、内製開発。

初等教育でプログラミングを学ぶことが定着すれば、15年から20年後には (1) が当たり前になっていると期待できます。しかしそれまでのつなぎとして現時点では (2) も必要です。そして私たちが提供する Wagby は (2) を提供するという位置付けになります。

まとめ:さぁ、DX をはじめよう

DXは大きなテーマです。今年こそは PoC を超えて、本格的に DX をどう捉えるか、という議論が深まることを願っています。

今回は「出発点」に絞って書いてみましたが、次は業界ごとに「顧客視点を貫いた先の世界」を妄想する話も整理したいと思います。