J-SaaS の苦戦から得られる教訓は多い

週刊BCNの記事より。
「鳴り物入りの「J−SaaS」 このまま終わるのか」
http://biz.bcnranking.jp/article/limitation/0912/091210_121118.html

日本の中小企業 50 万社に使ってもらうという目標で始まった J-SaaS ですが、1年後の現在、その 1/100 にも及ばないほど苦戦しているということです。

まだ事業の評価を行うには時期尚早という意見もありますが、ここには中小企業をターゲットとしたビジネスの困難性が凝縮していると感じます。

  • ほとんどの中小企業は J-SaaS の存在を知らない。つまり IT の専門家が不在である。良い周知方法を見出せていない。
  • サーバ管理が不要で、月額料金制というスモールスタート環境を用意してさえも、とびつくことはない。そもそも IT 化に対する関心が低い。

私見ですが、多くの中小企業は財務会計処理をパッケージソフトでこなし、それ以外(顧客管理、販売在庫管理、etc)は Excel で行っているのが実情です。電子メールとグループウェアを導入することが大きなステップアップであり、その先の業務系まで視野を拡げるところは、かなり少ないのでしょう。仮に J-SaaS がターゲットとした 50 万社のうち、5000 社が利用したという実績になるならば、Excel を超えた IT 化を行う企業は 1%, つまり 100 社に 1 社程度ということになります。これは IT 企業にとっては厳しい数字に映ります。期待していた市場規模が、実は 1/100 程度だったということになります。

もちろん、諦めることはありません。しかし中小企業への IT 化アプローチは、思い切った発想の転換が必要ではないかという教訓につなげられると考えています。