ITベンチャー企業という立場での講演会参加

今月は奇しくも大学と高専の学生それぞれに向けて、「ITベンチャー企業」の本音を語るというテーマで講演させていただく機会に恵まれました。

最初に行った大学生向けの講演では、就職活動前の皆さんということもあって、「3Kと敬遠されるようになったIT業界の問題点」を自分なりの視点で伝えつつ、業界の魅力を話しました。ちょうどその時は、ネット上で次のイベントについての賛否両論が盛り上がっていました。

「IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ」
http://www.atmarkit.co.jp/news/200710/31/ipa.html

まず率直に、IT 業界をこのような悲惨な状況たらしめているということは学生に隠すべきではないと思います。これは構造的な問題であり、1 社だけで解決できるものではありません。

その上で、業界全体として建前論ではなく、抜本的に解決しなければ人材が先細りするという危機感を共有することです。体力勝負に持ち込むだけの会社に、就職先としての魅力はないはずですし、時代に敏感な 20 歳代を騙せるはずもありません。

IT 業界は技術者を資産ではなくコストとみる風潮が強くなったと感じています。資産は価値を生み出しますが、コストであればカットの対象にしかなりません。

では技術者を資産と位置づけるためにはどうすればいいのか。それが経営なのだと痛感します。その根本には人月制度というビジネスモデルの打破が求められているというのが自説です。なぜなら人月制度でしか利益を出せない仕組みであれば、そこに高い技術力はそもそも求められていないからです。優秀な技術者を集めて、価値を生み出すことのできる企業は魅力が高まり、自然とヒトが集まってくる。業界全体がこのように変革することが、今まさに必要なのだと思います。

続いて高専の学生向けに行ったパネルでは、モデレータの方から「社長になったメリットは何か?」と尋ねられ、一瞬、返答に窮しました。

おそらく、学生の皆さんの期待する答えは「給料を多く頂けるはず。」「指示をすればいいので楽できるはず。」「現場と違って余暇も楽しめるはず。」というものではなかったでしょうか。その場では笑いをとる回答をしましたが... 改めて考えると、社長になったメリットを次の一言に集約できます。

「徹底的に自分を磨く機会を頂ける。」

社長というポジションは、冷酷なまでに当人を徹底的な現実主義者に変えていくものです。数字で評価されることを受け入れ、かつ公明正大で、社会を変えたいという熱い想いを持ち続けないとスタッフはついてこないでしょう。加えて、数々の危機にあっても常に立ち向かって行く気構えが必要です。日々、そういう環境に身を置くと実に鍛えられます。つまり、ありがたい人生修行をさせてもらっているわけです。ちなみに私は「若いうちの苦労は買ってでもする。」という教えは金言だと思う人間です。

もう一つ、学生の方から「サラリーマンを経験せずに起業することについてはどう思うか?」という質問があり、なるほどと思いました。この文章を読まれている皆さんならどう回答されますか?

私の答えは「アリ」でした。企業家にとって最も大切なもの、それは知識や経験ではなく、借金するための担保でもない。「成したい」という熱意だと思うのです。熱意のなくなったトップは潔く去るべきですし、熱意がある若い企業家にはチャンスを与えるべきと思います。ただし一度起業したら、やめたと簡単に言う事はできない。その覚悟があれば、やってみようと声をかけたいと思います。

立て続けにこういう講演の機会を頂けたのは、私にとっても自分の立ち位置を再確認できる良いきっかけになりました。私は何がやりたくて会社を興したのか、創業時と現在とで、その想いは冷めていないか。人前で話しながら、自分に言い聞かせていました。

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