沖縄IT津梁パーク シンポジウム参加

本日、内閣府・沖縄県・沖縄県のIT連合会主催によるシンポジウムがありましたので参加してきました。
予想以上の盛況で 200 名を超えた参加となり、椅子が足らずに事務局は嬉しい悲鳴のようでした。

簡単に発表された内容をメモします。私のコメントは最後にまとめて書きます。

「今後のソフトウェア産業政策の動向について」(経済産業省による基調講演)

産業の現状
  • 情報サービス業平成18年度の売上高16.7兆円、就業者数82万人。
  • ソフトウェアパッケージ比率は13.5%
  • 売上高の9兆円は東京。首都圏で10兆円を超える。北海道2000億、福岡3000億、京都2000億。沖縄は260億円で全国の0.2%、25番目。(平成17年)
  • 事業所数はほぼ横ばい、従業員数は増加傾向。
  • 2006年オフショア総額は713億、2004年対比35.5%増加。市場全体では0.4%以下(多くはない)。
  • 2011年予測は2568億、海外IT人材は現在の1.6万人から5.9万人に増加(見通し)
高度IT人材育成
  • 国内に高度人材は100万人いる。(組み込みから業務システム開発までを含む)
  • 産業としての魅力の欠如、適切な処遇がない、大学連携などが課題。
  • 企業ではプロマネが必要と考えられている。上流工程という分野。大企業で特に要望が多い。
  • 政府として認識している取り組みは次のとおり。「客観的な人材評価メカニズムの教育(情報処理技術者試験の見直し、ユーザ企業での取得奨励)」「実践的な教育カリキュラムの整備、教育の実施(教員向け、社会人向け教育)」「国際的な人材育成メカニズムの確立(オフショアを意識。海外人材の活用。)」
OSS支援
  • OSSを使えるものにしていくための技術開発支援を行っていく。IPA/OSSセンターが中核になる。
  • COBOLからRuby変換ツールや、Rubyの性能向上を支援する。

IT津梁パーク

センター構想概論

さまざまなセンターが(沖縄県のうるま市にある埋め立て地に)集積される。

  • オフショア・コア会社
  • アジアOSSセンター
  • ユビキタス特区センター
  • ASPコンテンツ配信センター
  • 上海・杭州-沖縄共同人材育成
  • アジアOJTセンター
  • テストセンター
  • バックアップデータセンター
  • 沖縄デジタルコンテンツライブラリセンター
  • デザインセンター
  • GISセンター

ただし、これらはあくまでも「計画」であることに注意。構想としてはあるが、実際に設立するのは民間主導である。つまり、構想どおりにセンターが立地されるかどうかは、スポンサー?に依存する。

確実に決まっているのは、沖縄県が建物を用意し、平成21年度から供用を開始するということ。フロア賃借料 5000円/月・坪を想定。

沖縄県の期待
  • 8000人の新規雇用創出。
  • 周辺に住宅、医療、商業施設、講演、映画館、コンサートホールの立地を計画。
沖縄オフショア・コア会社
  • すでに沖縄県内にあるフロンティア沖縄21が「那覇第1センター」となり、うるま市のコア会社と連携する構図が示された。800人規模の会社を目指す。フロム沖縄と連携してIターンUターンを確保する。
  • 新規事業開発として、上流から運用まで一環したシステム開発のためのキーテクノロジー開発を行う。
  • 初年度売上6億/90人目標。5年後に60億/800人。政府系開発業務の受注も目指す。
  • 既存の本土系開発会社も沖縄に「分室」をつくってもらいたい。
アジアOJT構想
  • 人材交流と連動したオフショア開発モデルの構築を行う。
  • アジアのブリッジセンターとする。これは仕事の仲介をする人を育成するもの。卒業生はアジアまたは日本の会社に就職し、ブリッジSEとなることが期待される。
  • コア会社が受注し、県内IT企業だけでなく、アジアOJTセンターにも仕事を発注する。
  • アジアOJTセンター/アジアブリッジセンターは、アジアオフショア会社に発注することもある。これによって開発費をより一層、削減できるようになる。競争力が高まる。
アジアOSSセンター構想
  • 沖縄にある NPO である OSPI (Open Source Promotion Institute) による提案。
  • OSSを「商材」と位置づけ、県内企業で製品をかついではどうか?というもの。
  • センター機能として OSSの商材化、OSS対応人材の育成、OSS商材の広報・販売支援がある。
  • 今年 F/S 調査を行う。2010年センター運用開始を目指す。
テストセンター構想
  • アプリケーションのテストセンターは先進的。
  • システムインフラのテストベンチマークセンターは大手各社が自社で行っており、外注できればコスト的に魅力。
  • 業務系ではテストファーストアーキテクチャによって重要性が増す。ウォーターフォール型との整合性は課題。
  • ハードウェアの選定作業も大変。多くのベンダーがある。組み合わせの動作テストが必要。
  • アプリケーション開発エンジニアよりインフラ系エンジニアの方が人月単価は高い。
バックアップデータセンター
  • データセンター国内市場規模 7000億円、成長力は年率14%、5年で2倍。
  • 沖縄への誘致については「認知不足、マーケティング余地がある、沖縄のブランド化が必要」という課題が見えてきた。
  • 今後はソフト開発、SI事業者との連携を強め、導入・運用サポートなど総合的サービスを期待する。
  • 注目キーワードは「グリーンデータセンター」。米国では全電力消費量の1.5%をデータセンターが使っている、しかも増加率は12%/年。米国先導で、データセンターに省エネ規制の流れ。「さとうきびデータセンター」はどうか?

委員長(MM総研 中島先生)によるまとめ

  • IT津梁パークは、沖縄がIT産業に取り組むという宣言を形にしたものである。
  • 本当にこれだけのテーマを実現するだけの力が、沖縄にあるのか?
  • 今回の議論は沖縄の事情、供給側の事情だけに着目していないか?
  • 沖縄のもつ地域特性をどう組み合わせるか。東京から沖縄にくるとほっとする、というものをどうセットにするか。世界的にはリゾート地がソフトウェア産業基地になっている。観光地=ソフトウェア産業地になりうる。
  • さとうきびデータセンターは沖縄らしい。

私の感想

  1. 構想として形になってきた反面、いよいよ具現化するに当たって、当事者であるはずの沖縄県内企業の参加意識が乏しいことが露呈しつつあるというのは心配しすぎでしょうか。国の立場としては予算をかけて実現可能性調査まで行っており、あとはプレーヤー(県内企業)にバトンタッチ、です。もしプレーヤー不在となれば、沖縄に投資価値はなかったとなるでしょう...。
  2. 委員の先生方の「沖縄のために」という気持ちが伝わりました。「この予算で調査したことは本当に沖縄県内の企業にためになったのか?」「いずれかの企業だけにメリットがある、などということはないのか?」など、事務局が回答に困るような質問が飛び交いました。一方で、そこまでの思いを私たち地元企業が受け止めていないのでは?というジレンマも感じます。率直にいうと、地元企業の多くは「待ち」状態で、「私たちのためのインフラである」という認識(真剣味)が足りないかも知れないということです。
  3. もたもたしているうちに、中国やインドといった企業がむしろ沖縄に投資して、大きなアジアオフショアセンターをつくってしまう可能性があることがわかりました。つまり国の予算で整備したパークの主導権は沖縄になかった、という状況もあり得るわけです。
  4. 県内の IT 企業が「何をしたいのか」をひとくくりにすることは難しいでしょう。オフショア重視/プロダクト重視/データセンター重視など、さまざまなビジネス的見地があります。小さい企業ながらも、会社のベクトルはみな異なるわけです。現在のIT津梁パークはこれをひとまとめにしていますが、県内のプレーヤー企業の動向によって、今後、どこに力を注ぐかは変わっていきそうです。
  5. オフショア開発はもはや価格重視ではなく、信頼できる高度技術に裏打ちされていないければ本土からの発注はない、という意見がありました。同意します。そういう議論なら、ジャスミンソフトが何の役にたてるのか、アピールできると思います。
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