非連続的な社会の変化に、企業システムはどう対応するべきか

2020年4月、世界中が「コロナ禍」に巻き込まれています。政府は平日においても人の移動を80%削減したいという数値目標を掲げましたが、このブログを記している時点では、マスコミ報道によると東京のオフィス街では35%程度の削減にとどまっている模様です。リモートワークへの移行は一筋縄ではいきませんが、社会全体としては「(リモートワークを)拡大していく」ことが是であり、この傾向はコロナ禍が終息しても「働き方改革」に受け継がれ、止まらないムーブメントになる、と感じています。

そんな中ですが、アスキーのこちらの記事は私も “ありえる” と思いました。

ascii.jp

ここは「デジタルトランスフォーメーション」という言葉を、「オフィス業務をオンラインで実現するための仕組みの達成」と解釈すると、やるべきことが明確になります。あわせて、この記事にあるような社会を想像したとき、私たちの「今」の仕事はどう変わるのかということもあわせて考えたいところです。

タイムリーですが、この週末に羽生さんの新著「ビジネスデザイン」が届いたので一気読みしました。

https://www.amazon.co.jp/dp/4297113015

(中略)
私たちに必要なのは、IT技術の知識そのものではなく、自分のビジネスや業務をどうしたいかという「ビジョン」、そしてそれを実現するためにどのように仕事を「設計」するか、さらに、設計した仕事をIT前提で行うための「要件定義」という3つです。本書では、「ビジョン」「仕事の設計」「要件定義」をどのように行えばよいのか、ITがわからない方でもしっかり理解して手を動かせるように、ていねいに解説します。

という触れ込みです。私はこの説明を、「コロナ禍」でオンライン対応が前提になるという非連続的な社会の変化が生じた今、自分のビジネスや業務をどうしたいのか、どうあるべきなのかという「ビジョン」について、経営陣から現場にいたるすべての人が立ち止まって考える機会の到来、と解釈しました。日本はこれまでも「外圧」によって産業構造が変わるという経験のたび、強くなってきました。今回の災厄も必ず乗り越えられると信じています。

ちなみに本書は技術書というよりは(広い意味での)仕事の流れの話なので、非・技術者の方もすらすら読める内容になっています。もちろん、システム設計に関わる技術者にとっても、お客様と話をするときの視点を再考する、よいきっかけになりそうです。AI 時代に仕事がなくなる...などといった悲観的な話をする前に、本書の内容を自分の中に落とし込んでいく方が何倍も前向きになれます。

私たちの話

Wagby はこれまで現場のシステム開発をいかに超高速に行うか、という視点で考えていました。これは、お客様である開発者の要望をいかに汲み取るか、という “受け” の姿勢が強かったということでもあります。しかしこれからは Wagby が率先して「オンライン対応が前提の社会で、企業システムはこうあるべきではないか」というアーキテクチャを考え、提案するというアプローチが求められるのではないか、と考え始めています。

これは私たちにとっても非連続的な変化であり、大きな挑戦です。ただ、この変化 = ビッグウェーブに「乗る」ためには、挑戦を避けることはできません。「コロナ禍」のあとも人類史は続きますし、その中で、私たちは何らかの価値を提供していくことが求められています。こういうときだからこそ、自らが提供する価値を再考する、というテーマについて深く降りてみたいと思います。