超高速開発コミュニティ- 記者会見から二日目の状況

超高速開発コミュニティ発起人企業の一人です。記者会見のニュース以降、このコミュニティの活動に対して多くのご意見が寄せられ、その反響の大きさに驚いています。会としての正式なアナウンスは(ただいま閉鎖中が多い)Webの復旧作業とともに行われる予定です。先ほどまでこの件を含め幹事・事務局の皆様と打ち合わせをしていました。ご心配をおかけしてしまって申し訳なく思います。運営体制の早急な見直しを行い、活動をしっかりと継続していきます。

雨降って地固まる ... 多くの意見を伺う「きっかけ」に。

一夜明けて、"超高速開発" という言葉をどう捉えるか、という視点で、参考になるブログをいくつも見つけました。

「超高速開発と聞いていろいろつぶやいてみる。」- 101回死んだエンジニア
http://el.jibun.atmarkit.co.jp/101sini/2013/08/post-fb84.html

いつものコラムの流れだと、「超高速の反面、リスクがでかくなる」とか「それを実現するには云々……」という流れになるが、今回は別の切り口で書いてみたい。
(中略)
発想の起点を変えることで、開発を高速化できる余地はまだまだあるのではないだろうか。また、製品自体が見直されることで、メイドイン・ジャパンのシステムが登場するかもしれない。そんな可能性を感じます。

「超高速開発が目指す未来像は何なのか」- GoTheDistance
http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20130808/1375927241

今回の発表で最も不明瞭だなぁと感じたのは、このツールを誰に売ってどんなメリットを享受してもらいIT業界自体の市場を活性化させるのか、ということでした。
(中略)
案件単価の下落傾向がとどまることを知らない中で新しいIT業界を作っていく・生き残っていくための未来像を作っていくことは業界全体の問題として捉えるべきです。顧客のビジネスに寄与するという目的はブレないわけですから、それにどう沿っていけばお互いがWin-Winなのか。

「超高速開発と聞いて思うところ。或いは、アジャイル開発が目指すところ」- プログラマになりたい
http://d.hatena.ne.jp/dkfj/20130808/1375944889

生産性が低いということが問題になっているのであれば、直接的なアプリケーションの制作工程ではなくて、まずムダなモノを作っていないかを改めて考えてみるのが良いのではないでしょうか?
(中略)
キッカケはなんであれ、開発というモノに関心を持つ人が出てくれば、それを契機にちゃんとチームなりお客さんと話していけば良いのです。そして、本当は何を必要としているのか、しっかりと考えていくことだと思います。

「超高速開発」はイノベーションの兆しか? - fintopo (追記)
http://fintopo.blog9.fc2.com/blog-entry-303.html

僕らは、システムを作って業務を高速化する。省力化し、改革する。そりゃあ、なかなか上手くいかないけどさ。でも、それが目的だよね。

システム化の向かうのが、他人の業務だけなんてことはない。当然、自分たちにも向かってくる。それが「超高速開発」ってことなんじゃないのかな?

超高速開発コミュニティについて - almost nearly dead (追記)
http://d.hatena.ne.jp/kanu-orz/20130808/1375888480

いずれにしても、なぜ4GLやCASEツール、コードジェネレータのブームが去ったのか、なぜ敬遠されたのかという点を真摯に考えなおさないと、第二のCASEツールブームどころか企画倒れにしかならないでしょう。
(中略)
まぁツール自体は使う開発者がデメリットに対する覚悟さえ出来ればどんどん使えば良いし、ベンダー主体じゃなくて現場の業務システム開発者が集まってコミュニティが出来ると面白いかなぁとは思います。


他にも Twitter で、この件を契機とした意見・提案・別の物の見方に関するつぶやきが増えています。

超高速開発という切り口は、あくまでもIT業界の改善につなげられるかも知れない、一つの可能性です。賛否両論あれど、そのような考え方の提示をきっかけに、「本来あるべき姿は何か」についてIT従事者の思索が深まり、双方の意見交換ができるのであれば、この活動発足に何らかの意味はあったと考えています。

今後の活動予定

記者発表の場で幹事の樋山さんから発言がありましたが、超高速開発を実現するという各社のツールは具体的にどういうもので、各ツールの違いは何か、ユーザー企業にとってどういうメリットがあるのか、という資料をまず、ご提供するようにします。11月の公開を目標としていますが、時間がかかる理由は「単に各社の製品パンフレットを一覧表にしてまとめたものには、しない。」というコンセプトを掲げているためです。ベンダー視点ではなく、ユーザー視点の資料とはどうあるべきか、この議論から入っていきます。これから正念場を迎えますが、1社単独ではつくれないような資料としてまとめることができれば、これは大きな価値をもつことになるだろうと考えています。

もちろん資料作成がゴールではありません。ベンダーとユーザー、SIerを良い意味の緊張関係を維持したまま、つなげるというのがコミュニティの性格です。「ツールの利用を通して、ユーザーに何らかのメリットを出す。それを提供するベンダーと、それをソリューションとして提供するSIerの3者が、同じゴールを共有する。」という関係と、「各ツールベンダー間の緊張した競争関係を作り出し、競争をとおして製品改善を継続することでユーザーにメリットを出す。」という二面性を維持するのは大変なことでしょう。

しかし、この二日間のネット上での懐疑的なコメントをみて、参加企業にとっても「注目されている分、会としてしっかり運営していかないと、信頼していただけない。」という緊張感が生まれたのではないかと感じています。今回いただいたコメントをプラスに転じられるよう、幹事として臨みたいと思います。

書くかどうか迷ったこと

「超高速開発コミュニティ」の対象は、企業向け業務アプリケーション開発(エンタープライズアプリケーション)に限っています。Webページを管理するソフトウェアは対象ではなく、昨日より、多くの方からお叱りを頂戴した Web サイトについても、参加企業が提供するツールを使ったものではありません。これは言い訳にしかならないので書かないでおこうと思ったのですが、情報提供の一つとして、付記させていただきました。